陰部の白いブツブツに心当たりがある男性は意外に多いのではないでしょうか。陰部にできる白いブツブツは、尖圭コンジローマや梅毒といった悪性の性感染症のものもあれば、フォアダイスや真珠様丘疹、包皮腺などのように良性のものもあります。
これらは素人には見分けが付きにくく、悪性の場合は放置すると排尿や性行為に支障が及ぶ可能性が高いため、自己判断せず、速やかに医師に診断してもらわなければいけません。
そこでこの記事では「陰部の白いブツブツ」に関して、症状ごとの原因や治療法などを泌尿器科の医師が分かりやすく解説します。
この記事の目次
陰部のできもの
男性の場合、ペニスの亀頭や陰茎、陰嚢、さらには肛門といった陰部全体において、白いブツブツができることがあります。
白いブツブツの原因は、性感染症による悪性のもの以外にも、脂肪の塊が隆起したもの、または陰部の皮膚の脂腺が膨らんで目立つ状態になった良性のものがあり、原因を正しく診断するためには泌尿器科の医師によるチェックが不可欠です。
インターネットの情報を参考にして良性と自己判断したり、痒みや痛みといった症状がないから良性と思い込んだりすると、結果的に悪性だったということが判明するケースもあります。
従って、陰部に白いブツブツができた場合は、どのような症状であっても、可能な限り早い段階で、医師による診断を受けることが大切です。
【痒みや痛みを伴う場合】陰部に白いブツブツができる原因
男性の陰部にできる白いブツブツが、痒みや痛みを伴う場合、以下のような原因が考えられます。
- 梅毒
- 性器ヘルペス
- カンジダ性亀頭包皮炎
- 毛包炎(毛嚢炎・もうのうえん)
それぞれの原因について特徴などを含めて解説します。
梅毒
「梅毒」は陰部に赤みや白いブツブツ、硬いしこりのようなものができ、痛みや違和感を伴うことがほとんどです。
感染後約1ヶ月で感染箇所(陰部)を中心にしてできものが表れますが、放置していれば消えるため、治ったと勘違いしやすく注意すべきです。(梅毒は自然治癒することはない)
東京都感染症情報センター(*1)によると、2021年以降、梅毒の感染者数は過去10年のなかでも高い水準を維持していることから、陰部のできものは梅毒の感染を疑ってよいかもしれません。
性器ヘルペス
陰部に白いブツブツができる原因には「性器ヘルペス」もあります。陰部において、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)または2型(HSV-2)の感染が起こり、かゆみや痛みを伴う白いブツブツが表れます。
水ぶくれのようなできものが破れると、強い痛みを伴う潰瘍(皮膚が傷付き、ただれる状態)になり、発熱やリンパ節の腫れ、排尿痛などを併発することがあります。
カンジダ性亀頭包皮炎
「カンジダ性亀頭包皮炎」も陰部に白いブツブツができる原因です。これは体内に存在するカンジダ菌が異常に増殖することで発症し、主に亀頭周辺にかゆみや痛み、腫れを伴うできものが表れます。
患部で異臭を伴う白や黄色っぽいカスが出ることも特徴で、包茎の男性だと症状が治りにくい、または繰り返し発症する恐れがあります。
毛包炎(毛嚢炎・もうのうえん)
陰部で痒みや痛みを伴う白いブツブツができる原因として「毛包炎」も考えられます。これは、毛根を包んでいる毛包(毛嚢)周辺で、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌によって炎症が引き起こされることが原因です。
赤く膨れるような状態になることもありますが、数日経過すれば自然治癒することがほとんどとされています。
【痒みや痛みを伴わない場合】陰部に白いブツブツができる原因
男性の陰部にできる白いブツブツが、痒みや痛みを伴わない場合は、以下のような原因が考えられます。
- 尖圭コンジローマ
- フォアダイス
- 真珠様小丘疹
- 包皮腺
- 皮下腫瘤
- 性器伝染性軟属腫(水イボ)
それぞれ解説します。
尖圭コンジローマ
「尖圭コンジローマ」は性感染症のひとつで、陰部において痒みや痛みをほとんど伴わないイボのような白いブツブツや、鶏のトサカ状、さらにはカリフラワー状のできものが生じます。
放置するとブツブツが肥大化または増殖し、排尿や性行為に支障が及ぶ可能性があります。初期段階では良性のフォアダイスと区別がつきにくいため、フォアダイスと自己判断し、尖圭コンジローマの症状が進行してしまうことがあります。
フォアダイス
陰部にできる白いブツブツには「フォアダイス」があります。フォアダイスは良性のため、放置したとしても問題ありません。(自然に消えることはない)
亀頭や陰茎の皮膚にある脂腺が膨らんで目立つ状態になっているだけですが、尖圭コンジローマに似ていることや、ペニスの見た目の印象が悪くなるため、パートナーから性病と誤解されやすいでしょう。
真珠様小丘疹
「真珠様小丘疹」は、陰茎のカリ部分に白いブツブツが規則的に並ぶようにして表れるもので、フォアダイス同様に良性のため放置しても問題ありません。(自然に消えることはない)
これは皮膚の皮脂腺が膨らんで外側に飛び出る生理現象によるものですが、尖圭コンジローマと間違いやすいことや、見た目の印象が悪くなります。
包皮腺
「包皮腺」はタイソン腺とも呼ばれ、ペニスの包皮小帯(裏スジ)にある皮脂腺が膨らむことで白いブツブツが表れる症状で、良性のため放置しても問題ありません。(自然に消えることはない)
裏スジの両側に1個ずつ表れることがほとんどですが、尖圭コンジローマといった性病の症状と見誤りやすいでしょう。
皮下腫瘤
「皮下腫瘤(ひふしゅよう)」は、主に陰茎の皮膚の下にできる「しこり」のことです。良性と悪性があり、良性の場合は皮脂腺の出口に角質などが詰まって膨らんだ状態であることが多いのに対し、悪性の場合は細菌による炎症が悪化しているケースや、陰茎癌の可能性も否定できません。
性器伝染性軟属腫(水イボ)
「性器伝染性軟属腫(水イボ)」も陰部に白いブツブツができる原因です。これはウイルス性の皮膚疾患のひとつで、ほとんどの場合は小児期に起こるとされていますが、感染力が強いため、成人でも起きる可能性があります。(原則、自然治癒を待つ)
主に陰茎で、1~2ミリの突起がある白いブツブツが生じ、肥大化すると中央が窪みますが、かゆみや痛みはほとんど感じないでしょう。
陰部のできものを治療する方法
男性の陰部にできる白いブツブツを治療する方法は以下の2つです。
- 除去治療
- 投薬治療
それぞれ解説します。
除去治療
陰部の白いブツブツは「除去治療」が最もおすすめです。主に、高周波電気メスを使った除去治療や冷凍凝固法などが用いられ、ごく短時間で済み、なおかつ治療跡が残ることもありません。
尖圭コンジローマやフォアダイス、真珠様丘疹、包皮腺といった様々なできものに有用ですので、陰部のブツブツを治療する際の第一選択肢になるでしょう。
投薬治療
「投薬治療」は、梅毒や尖圭コンジローマ、性器ヘルペス、そしてカンジダ性亀頭包皮炎といったことが原因で白いブツブツが生じているケースに有用な治療法です。
基本的には、医師の診断のもと、抗菌薬(飲み薬や塗布薬)の処方で対応します。
まとめ
男性の陰部にできる白いブツブツは、梅毒や性器ヘルペスといった痒みや痛みを伴うケースだけでなく、尖圭コンジローマのように悪性でありながらほとんど自覚症状がないケースもあります。
また、放置しても問題ないフォアダイスが原因のこともあるため自己判断は控えてください。
陰部に白いブツブツができた場合は、一度医師に診てもらうことをおすすめします。
MSクリニックでは、包茎手術・早漏治療・長茎術・亀頭増大術などから、AGA薄毛治療など、男性美容まで男性のお悩みに向き合うメンズクリニックです。
症例豊富な医師をはじめ、看護師も全員が男性ですので、どうぞお気軽にご相談、ご来院ください。
この記事の監修医師
葉山芳貴
経歴
平成14年 聖マリアンナ医科大学 卒業
平成20年 大阪医科大学 大学院 卒業
平成22年 大手美容形成外科 院長 就任
平成27年 メンズサポートクリニック開設
平成28年 メンズサポートクリニック新宿 院長就任
平成28年 医療法人清佑会 理事長 就任
資格
医師免許(医籍登録番号:453182)
保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)
鳥羽洋輔
経歴
平成31年 札幌医科大学医学部医学科 卒業
令和3年 美容皮膚科クリニック 勤務
令和4年 MSクリニック 勤務
資格
美容外科医
医師免許(医籍登録番号:559547)