多くの男性は「包茎だと性病になりやすい」といった話を聞いたことがあるのではないでしょうか。
事実、包茎は亀頭周辺が不衛生になりやすいため、様々な性病に感染するリスクがあります。一方、具体的にどのような性病に感染しやすいのかや、包茎を治療しないとどのような影響が生じるのかといったことはあまり知られていないようです。
そこでこの記事では、包茎治療を数多く手掛ける医師が、包茎の男性に向けて「包茎と性病」の関係について分かりやすく解説します。
この記事の目次
包茎が性病になりやすい理由
包茎だと性病に感染するリスクが高い理由は「不衛生」になりやすいためです。包茎だとペニスの包皮が長時間にわたって亀頭を覆ったままの状態になりやすく、亀頭周辺の洗浄や乾燥が不十分になってしまいます。
この結果、様々な問題を引き起こす病原菌が繁殖しやすくなり、亀頭包皮炎などのトラブルを招きやすく、梅毒やカンジダなどの性病に感染するリスクが増加します。
これらのトラブルを引き起こす温床と言えるのが「恥垢(ちこう)」です。恥垢とは、皮脂や汗、尿、さらには精液といった垢が混ざり合って蓄積したことによりできる白色や黄色をした物質のことで、病原菌は主に恥垢で繁殖し亀頭包皮炎を引き起こします。炎症を起こしている皮膚はバリア機能が低下しているので、性病を起こすウイルスや細菌が侵入しやすい状態になってしまいます。
つまり、包茎だと恥垢が溜まりやすいため、炎症を引き起こしたり、性病に感染したりする訳です。
包茎の症状によっては、恥垢を洗い流せないこともあり、恥垢が石灰化してしまう「包皮結石」を招くこともあります。
また、恥垢が強烈な異臭を出すことで、パートナーとの関係が悪化することもあるため、包茎は性病になりやすいだけでなく、パートナーとの関係を崩す原因にもなりかねないことを理解しておきましょう。
包茎の人が感染しやすい性病の種類
包茎の男性が感染するリスクが高い性病の種類は、以下のようなものが挙げられます。
- 梅毒
- カンジダ
- HIV(ヒト免疫不全ウイルス)
それぞれの性病について解説します。
梅毒
「梅毒」は、スピロヘータと呼ばれる病原体に感染することで発症します。梅毒は性行為を通して、皮膚の微細な傷から侵入します。
感染後数週間すると侵入した部位の皮膚に赤みやしこりなどが生じる梅毒I期になります。
梅毒I期では痛みや痒みなどはないため、包茎でかぶっていると目視での発見が遅れることがあります。さらに、亀頭包皮炎があると、亀頭包皮炎が悪化したように見えることもあるため、梅毒の感染に気づかず、進行させてしまう恐れがあります。無治療のままでも一旦症状は落ち着きますが、目立った症状がないまま密かに進行し、梅毒II期になります。
梅毒II期になると、全身の皮膚に発疹が生じたり、粘膜や内臓症状を生じたりします。多くの方は梅毒II期で治療を開始するのですが、治療を行わないと梅毒II期も一旦症状は収まり、目立った症状がないままさらに進行します。
さらに数年から数十年かけて梅毒が進行すると、ゴム腫と呼ばれる腫瘍を形成し、皮膚や骨に変形を起こすばかりか死に至ることもあります。
梅毒は症状が出ては収まりを繰り返しながら確実に体を蝕むので、感染予防はもちろんのこと、早期発見、早期治療が望まれます。
包茎の場合、目に見える皮膚の傷がなくても亀頭包皮炎で皮膚のバリア機能が低下しているところから感染しやすく、さらに初期症状がわかりにくい場合があるので、特に注意が必要です。
カンジダ
「カンジダ」は包茎の男性が感染しやすい性病です。カンジダは、主にカンジダ菌と呼ばれる真菌(カビ)に自己感染することで発症するほか、わずかながら性行為を通して感染することもあります。
感染すると痒みや痛み、白い垢、そして発疹などの症状が出ることが特徴ですが、症状が悪化して亀頭包皮炎を併発するかもしれません。
包茎の場合、ペニスを清潔に保ちにくいことから、カンジダ菌が増殖し、感染しやすくなってしまいます。
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)
包茎の人が感染しやすい性病には「HIV(ヒト免疫不全ウイルス)」が含まれます。HIVウイルスは、ごくわずかながら性行為によって感染する可能性があります。
HIVウイルスに感染すると、1年から10年の時間を経て、AIDS(エイズ)を発症する可能性があるとされています。
包茎の場合、包皮炎などを起こして傷ができていると、性行為の際にHIVウイルスが侵入することで感染するかもしれません。
包茎の人が発症しやすい疾患
包茎だと性病以外に以下のような疾患を発症するかもしれないことを合わせて知っておきましょう。
亀頭包皮炎
包茎だと「亀頭包皮炎」になる可能性があります。亀頭や包皮で細菌が繁殖し、痛みや痒みといった炎症、さらには膿の分泌を引き起こす症状です。
包茎の男性は亀頭包皮炎を繰り返し発症しやすいため、注意すべき疾患と言えるでしょう。
閉塞性乾燥性亀頭炎
「閉塞性乾燥性亀頭炎」は、包茎だとかかりやすい病気のひとつです。亀頭包皮炎を繰り返し発症することで包皮が硬化してしまって、包皮口が閉塞してしまう状態を指しています。
包皮口が閉塞してしまうと、元々仮性包茎だった患者さんがカントン包茎や真性包茎に悪化していくばかりか、排尿障害につながる可能性があるため、とくに亀頭包皮炎を繰り返す男性は注意すべきです。
尿路感染症
包茎の男性がなりやすい疾患には「尿路感染症」もあります。恥垢で繫殖した病原菌が尿路に侵入することで発症します。
包茎だと不衛生な状態が続くことから、常に感染リスクが高い状態と認識し、注意すべきです。
陰茎ガン
「陰茎ガン」は包茎の男性がかかりやすい疾患と言われています。尖圭コンジローマなどのウイルス感染や、包皮炎などの炎症の繰り返しによる刺激が一因になると考えられています。
男性が発症するガンの1%程度とされているものの、包茎が遠因になり得るため注意しなければなりません。
包茎のタイプ別リスク
包茎のタイプによっては性病をはじめ、様々なリスクがありますので覚えておきましょう。
仮性包茎
仮性包茎は、日本人男性のおおよそ60~70%が該当します。入浴時に包皮を剥くことで洗浄しやすいものの、平常時は包皮が亀頭を覆っていることが多いため、性病や亀頭包皮炎のリスクがあります。
また、普段から亀頭が包皮に覆われているため刺激に弱く、早漏の原因の一つにもなるため治療するのが望ましいでしょう。
真性包茎
真性包茎は、勃起時でも包皮が覆っていることから、性病になるリスクがより高いと言えます。
恥垢が蓄積しやすく、悪臭や早漏、排尿障害、さらにはED(勃起不全)を招くリスクが否定できないため、早期治療が必要です。
カントン包茎(嵌頓包茎)
カントン包茎は、性病に感染しやすいだけでなく、包皮を剥いて亀頭を露出させた際に、亀頭直下の陰茎が窮屈になるため、鬱血を起こしやすく、亀頭の壊死を招くリスクがあります。
ペニスの機能に支障が及ぶ可能性が高く、できるだけ早期に治療すべき症状です。
包茎治療のメリット
炎症予防
包茎治療は「炎症予防」のメリットもあります。性病予防と同様で、恥垢が溜まることを防ぎ、炎症の原因となる様々な細菌の繁殖を防ぎます。性病リスクの低下
亀頭周辺を清潔に保ちやすくなるため、亀頭包皮炎を起こしにくくなり、結果として性病をはじめとした感染症のリスクを低下させることが期待できます。
早漏やED予防
「早漏やED予防」も包茎治療のメリットです。包茎手術によって亀頭がしっかり露出することで亀頭が普段から刺激にさらされ、次第に刺激に慣れていくことで性的刺激にも強くなるでしょう。
この結果、早漏を心配することなく、セックスに対する自信が持てるようになり、心因性EDの発症を防ぐ効果が期待できます。
見た目の印象改善
包茎治療は「見た目の印象改善」もメリットです。パートナーはもとより、温泉施設などにおいて、恥ずかしい思いをする機会が減少します。
ペニスの見た目が改善されることは、実は心因性EDの予防や、男性としての自信を持てるようになるといった精神的なメリットが大きいのです。
まとめ
包茎だと梅毒をはじめとした性病に感染するリスクが高まります。
また、亀頭包皮炎といった炎症を招くリスクが高く、包茎である限り、絶えずそのリスクを抱えてしまいます。
包茎は性病だけでなく、早漏やEDといった症状にもつながることを理解し、できるだけ早く治療することをおすすめします。
MSクリニックでは、包茎手術・早漏治療・長茎術・亀頭増大術などから、AGA薄毛治療など、男性美容まで男性のお悩みに向き合うメンズクリニックです。
症例豊富な医師をはじめ、看護師も全員が男性ですので、どうぞお気軽にご相談、ご来院ください。
この記事の監修医師
葉山芳貴
経歴
平成14年 聖マリアンナ医科大学 卒業
平成20年 大阪医科大学 大学院 卒業
平成22年 大手美容形成外科 院長 就任
平成27年 メンズサポートクリニック開設
平成28年 メンズサポートクリニック新宿 院長就任
平成28年 医療法人清佑会 理事長 就任
資格
医師免許(医籍登録番号:453182)
保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)
鳥羽洋輔
経歴
平成31年 札幌医科大学医学部医学科 卒業
令和3年 美容皮膚科クリニック 勤務
令和4年 MSクリニック 勤務
資格
美容外科医
医師免許(医籍登録番号:559547)