妊活に取り組んでいるという男性の中には「妊活中なのにEDになってしまう」や「妊活を始めてからたたない」といったことに悩む人は少なくありません。
一方、EDの症状を一時的な問題として捉えてしまい「どうして妊活中にEDになってしまうのか」や「妊活中のEDを克服する方法」などについてまで考える機会は少ないようです。
そこでこの記事では、様々なケースのED治療を手がけてきた医師が、妊活中のEDに悩む男性に向けて「妊活中のED」に関する、原因や影響、そして対策を分かりやすく解説します。
この記事の目次
妊活中にEDになる主な原因
妊活中にEDを発症する主な原因として以下のようなことが考えられます。
- 心理的なストレスや重圧
- 血管障害や神経障害
- 性交に対するコンプレックス
- 妻だけED
上記の原因について解説します。
心理的なストレスや重圧
「心理的なストレスや重圧」は、最も影響が大きい原因と言えるでしょう。具体的には、奥様をガッカリさせたくない、義務的なセックスに気後れしてしまう、さらには家族(義理の家族)からのプレッシャーなど、その要因は内的または外的と様々です。
なかには、排卵日が近づくことに対して不安や重圧を感じる男性もいます。このようなケースは「タイミングED」や「排卵日ED」などとも呼ばれ、妊活が精神的な負担になることが原因で起こりやすいと言われています。
日本性機能学会および日本泌尿器科学会によるED診療ガイドライン[第3版](*)では、EDのリスクファクターとして、心理的および精神疾患的要素が挙げられていることから、軽視できない原因です。
血管障害や神経障害
妊活中のEDを招く原因として「血管障害や神経障害」も考えられます。具体的には、肥満、糖尿病、高血圧、喫煙といった要素が影響します。
これらは、血管が狭くなったり硬くなったりする動脈硬化を誘発しやすいだけでなく、交感神経を刺激する(緊張状態になる)ことから、結果として勃起に必要な血液量の確保や、血流が阻害されてしまい、EDになってしまいます。
事実、EDのリスクファクター(*)としても挙げられていることから、これらに心当たりがある場合は注意すべきでしょう。
性交に対するコンプレックス
妊活中のEDは「性交に対するコンプレックス」が原因の可能性もあります。例えば、遅漏や包茎(真性包茎やカントン包茎)の男性が、これらをコンプレックスに感じて、セックスに積極的になれないことなどが該当します。
コンプレックスが原因となり、自然妊娠に不可欠である正常な膣内射精が達成できないかもしれないと気負って、EDの症状が出ることもあります。
妻だけED
「妻だけED」も妊活中のEDでよくある原因のひとつです。家族であるが故に、奥様に対して性的な興奮が湧かず、EDを招いているかもしれません。
性的刺激に対しては勃起するにもかかわらず、いざ奥様とのセックスとなると勃起しない、あるいは中折れする場合は、妻だけEDを疑った方がよいでしょう。
妊活中のEDが与える影響
妊活中のEDは、自然妊娠に影響するほか、以下のようなことが考えられますので、合わせて知っておいてください。
- 離婚1
- 子どもを諦める
- EDが深刻化する
それぞれ解説します。
離婚
「離婚」は妊活中のEDがきっかけにして起こる影響のひとつと言えるでしょう。EDは男性側の問題と解釈されやすく、子どもができない原因は男性がEDだからと、一方的な責任になってしまうかもしれません。
万が一、このような状況が長期間続くと、夫婦間で思わぬすれ違いを起こし、結果として離婚に至る可能性も否定できません。
子どもを諦める
妊活中のEDは「子どもを諦める」ことにつながるかもしれません。とくに、女性が30~40代の場合は、時間的な制約もプレッシャーになるかもしれず、EDが長期間続くような場合は、子どもを諦めることになる可能性があります。
EDが深刻化する
「EDが深刻化」することも影響のひとつです。妊活中にEDを繰り返すような場合、失敗体験がトラウマになってしまい、セックスの度に緊張状態に陥るかもしれません。
EDによる失敗体験が負の連鎖になって、一層深刻なEDを招く可能性があります。
EDの種類
前述したように、妊活中のEDは心因的なことや身体的なことなど、様々な原因があります。以下4つのEDの種類をよく理解し、ご自身の症状がどれに当てはまるかを把握することで、解消に向けた効率的なアプローチが可能になるでしょう。
器質性ED
「器質性ED」は、血管や神経といった身体的な問題によって起きるEDのことです。加齢とともに起こりやすいことが特徴であるほか、糖尿病や高血圧、動脈硬化などが要因になります。
心因性ED
「心因性ED」は、心理的ストレスや精神疾患などが原因で起きるEDです。妊活に対する重圧をはじめ、妻だけED、うつ症状といったことが含まれ、妊活に取り組み男性の多くがこれに該当すると考えられています。
混合性ED
「混合性ED」は、器質性EDと心因性EDを同時に発症している状態です。EDの種類のなかで、最も原因の特定が困難とされており、妊活中の男性が該当している可能性が高いとされています。
薬剤性ED
「薬剤性ED」は、使用中の薬剤による副作用が原因で起きるEDです。ED診療ガイドライン(*)では、降圧薬、抗うつ薬、そして男性型脱毛症治療薬(フィナステリド)などが悪影響を及ぼす可能性があると指摘しています。
妊活中のEDを克服する方法
妊活中のEDを克服する方法として、以下のことをおすすめします。
- ED治療薬
- カウンセリング
- ペニスのコンプレックス解消
上記について解説します。
ED治療薬
「ED治療薬」は、妊活中のEDを克服するために最もおすすめの方法です。バイアグラやシアリス、さらにはこれらのジェネリックなどがあり、医師の問診のうえ、処方してもらいましょう。
厚生労働省(*)は、バイアグラ、バイアグラODフィルム、シアリスといったED治療薬については、不妊治療に使用することを認めていることから、ED治療薬としての有効性や安全性はお墨付きと言えます。
なお、ED治療薬は原則として保険適用外です。保険が適用される条件は厳しく、一般不妊治療管理料や生殖補助医療管理料などで不妊治療を受け、なおかつEDと診断される必要があります。
カウンセリング
妊活中のEDを克服するには「カウンセリング」もおすすめです。男性の場合、男性専用クリニックの医師にEDの症状を打ち明けたり、夫婦間のセックスの悩みを聞いてもらったりすることが大切です。
加えて、夫婦間においても、ED解消に向けて、セックスの頻度や環境に変化を加えるといった話し合いにも取り組みましょう。
ペニスのコンプレックス解消
「ペニスのコンプレックス解消」も妊活中のEDを克服するのにおすすめです。とくに、包茎や遅漏、短小といった症状は、膣内射精に支障を及ぼすかもしれないため、該当する男性は検討すべきでしょう。
また、これらをコンプレックスに感じるあまり、セックスに消極的になると、心因性EDを招く可能性があるため、ペニスに何かしらのコンプレックスがある場合は、医師に相談しましょう。
まとめ
妊活中のEDは、子作りに対する重圧などの心理的なストレスによる心因性EDや、肥満や糖尿病といったことに起因する器質性EDが原因であることがほとんどです。
克服するには、夫婦間で協力することも大切ですが、ED治療薬なども積極的に使用することをおすすめします。
MSクリニックでは、ED治療を始め、包茎手術・早漏治療・長茎術・亀頭増大術などから、薄毛治療、男性更年期治療など、男性のさまざまなお悩みに向き合うメンズクリニックです。
医師をはじめ、看護師も全員が男性ですので、どうぞお気軽にご来院ください。
この記事の監修医師
葉山芳貴
経歴
平成14年 聖マリアンナ医科大学 卒業
平成20年 大阪医科大学 大学院 卒業
平成22年 大手美容形成外科 院長 就任
平成27年 メンズサポートクリニック開設
平成28年 メンズサポートクリニック新宿 院長就任
平成28年 医療法人清佑会 理事長 就任
資格
医師免許(医籍登録番号:453182)
保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)
鳥羽洋輔
経歴
平成31年 札幌医科大学医学部医学科 卒業
令和3年 美容皮膚科クリニック 勤務
令和4年 MSクリニック 勤務
資格
美容外科医
医師免許(医籍登録番号:559547)