数ある性感染症のなかでも、感染する確率が高いとされているひとつが「クラミジア」です。
クラミジアは感染しやすいことが特徴である一方、感染したことに気が付きにくく、知らぬ間にパートナーを感染させてしまう可能性があるため、男女問わず正しい知識を持って感染を予防する取り組みが求められます。
そこでこの記事では、性感染症に詳しい医師が「クラミジアの治療中に性行為してしまった」場合にどうなるのかや、予防のために知っておくべきことなどについて分かりやすく解説します。
この記事の目次
クラミジアとは
クラミジアの治療中に性行為してしまった場合の対応を理解するにあたり、クラミジアとはどのような性病なのかを正しく知っておきましょう。
クラミジアとは、クラミジア・トラコマチスと呼ばれる病原体に感染することで、男性の場合はペニスの痛みや痒み、そして排尿痛などを伴い、放置すると精巣上体炎などを招く恐れがある病気です。
クラミジアは性行為全般で感染します。例えば、膣性交はもとより、肛門性交、オーラルセックス(フェラチオやクンニリングスなど)、そしてディープキスによっても感染する可能性があります。
男性の場合、主な感染部位は尿道や肛門、女性は膣や肛門、そして男女ともに喉にも感染します。喉に感染することを知らぬまま、オーラルセックスやキスによって感染するケースもあるため注意すべきです。
クラミジアは5人中4人が自覚症状を持たないと言われるほど、感染したことに気が付きにくい特徴があります。
この結果、お互いに感染している事実に気付かずに性行為を続けることによって、感染し続け合う「ピンポン感染」に陥るかもしれません。
また、クラミジアは再発する可能性もあるため注意が必要です。このように、クラミジアは感染しやすく、気が付きにくい、そして発症を繰り返すといった厄介な性感染症であり、日本では最も感染者数が多い性感染症とされています。
クラミジアの主な症状
クラミジアの主な症状は以下の通りです。
- 尿道炎
- 尿道の不快感
- 痒みや痒み
- 排尿痛
- 咽頭炎
これらの症状に該当する場合は、検査および治療が終わるまで性行為を控えることをおすすめします。
クラミジアになる原因
クラミジアになる原因は「性行為」です。具体的には、セックスやオーラルセックス、さらにはディープキスなどが該当し、いずれも「粘膜や分泌液との接触」という点で共通しています。
クラミジアの潜伏期間は1週間から3週間とされていますが、潜伏期間中の性行為であっても感染する可能性があります。
また、クラミジアの治療中で、抗生物質を服用している期間であったとしても感染する可能性があるため、治療中の性行為は厳禁と言えます。
一方、温泉施設やトイレ、ドアノブ、食器の共有といった日常生活においてクラミジアに感染することは考えにくいことから、感染経路の多くは何かしらの性行為と思ってよいでしょう。
なお「クラミジアに感染するような性行為に心当たりがない」や「身に覚えがない」というケースはよくありますが、クラミジアは男女とも自覚症状を伴わないことが多いため、夫婦や恋人間の日常的な性行為で、お互いが自覚しないまま感染している可能性があります。
パートナーがクラミジアに感染したからと言って、即座に浮気や他者との性交を疑うのは止めた方がよいでしょう。
クラミジアの治療中に性行為するとどうなる?
クラミジアの治療中に性行為してしまったら、以下のような影響が生じる可能性があります。
- パートナーに感染してしまう
- ピンポン感染を繰り返す
- 治癒しにくくなる
クラミジアの治療中に性行為してしまったら、高い確率で感染を広げることになります。大切なパートナーにクラミジアをうつすことになりかねないため、治療中の性行為はオーラルセックスやキスも含め控えてください。
また、クラミジア発症の症状がない、あるいは軽度だからと言って、性行為することはピンポン感染を繰り返し、パートナーも含めて、いつまでも治癒しない事態を招くかもしれません。
従って、クラミジアの治療中、あるいは感染の疑いがある場合は、検査で陰性を確認するまで性行為全般を控えなければいけないことを覚えておきましょう。
クラミジアを放置すると起きる問題
クラミジアを治療せず放置した場合に起きうる問題として、以下のようなことが挙げられます。
男性側のリスクだけでなく、女性のリスクも正しく理解し、クラミジアの感染予防に役立ててください。
- 尿道炎
- 精巣上体炎
- 淋病やHIVなどを併発
- 肝周囲炎(女性)
- 卵管閉塞による不妊症(女性)
それぞれ解説します。
尿道炎
クラミジアを放置すると「尿道炎」のリスクがあります。これはクラミジアの菌が尿道に侵入し尿道や膀胱などで炎症が生じることで、排尿時に痛みが出たり、膿が出たりします。
軽度な症状であることが多く、様子見やそのまま放置してしまいやすいので注意が必要です。
精巣上体炎
「精巣上体炎」はクラミジアを治療しないことで生じるリスクのひとつです。精巣上体にクラミジアの菌が侵入することで発症します。
陰嚢全体が大きく腫れたり、急な痛みや発熱、全身の倦怠感、そして男性不妊の原因になったりする可能性があります。
淋病やHIVなどを併発
クラミジアを放置すると「淋病やHIVなどを併発」するリスクがあります。いずれも性行為によって感染するものであり、自然免疫が低下している時などは注意しなければいけません。
肝周囲炎(女性)
クラミジアを放置すると、女性は「肝周囲炎」になる可能性があります。肝周囲炎とは、肝臓を包んでいる皮膜にクラミジア菌が感染して炎症を引き起こす症状です。
主に、下腹部痛や右上腹部痛を伴うとされていますが、クラミジアが原因であることに気が付きにくいケースもあるため注意が必要です。
卵管閉塞による不妊症(女性)
「卵管閉塞による不妊症」は、クラミジアを放置することで生じる女性のリスクです。これは、クラミジア菌が卵管に侵入して炎症を起こし、卵管が狭くなってしまう症状で、結果的に不妊の原因になる可能性があります。
女性の場合、クラミジア感染に起因する合併症や後遺症が深刻になりがちであることを知っておきましょう。
クラミジアの治療法
クラミジアの治療は抗生物質の「薬物投与」が主流です。クラミジアの治療による完治率は70%から80%とされているものの、再治療が必要になるケースもあります。
基本的には、1週間ほど薬を服用し、検査を受けて陰性であれば治療終了です。なお、パートナーがいる場合は、パートナーと一緒に検査および治療することをおすすめします。
クラミジアと性行為に関連するよくある質問と回答
クラミジアと性行為に関するよくある質問を紹介します。
クラミジアの治療中はどんなことがNGですか?
性行為全般(オナニー含む)がNGです。
自覚症状がなくなったのでセックスしてもいいですか?
いいえ。検査で陰性を確認するまでは控えてください。
クラミジアの治療中はオナニーしてもいいですか?
いいえ。治癒の遅れを招くため控えてください。
クラミジアは潜伏期間でも感染するのですか?
はい、感染します。感染が疑わしいと思う場合は性行為全般を控えましょう。
いつから性行為できるようになりますか?
検査で陰性が判明してからです。
まとめ
クラミジアの治療中に性行為してしまったら、パートナーが感染しているかもしれません。
クラミジアは感染しやすく、感染に気が付きにくいため、少しでも心当たりがあるなら性行為は控えましょう。
自覚症状がないことや、大丈夫そうだからと言って性行為を続けることは決してよくありませんので、積極的に検査を受けるようにしてください。
MSクリニックでは、包茎手術・早漏治療・長茎術・亀頭増大術などから、AGA薄毛治療など、男性美容まで男性のお悩みを解消しています。
医師を始め、看護師も全て男性スタッフが対応しますので、ご不安なことがあればお気軽にご相談ください。
この記事の監修医師
葉山芳貴
経歴
平成14年 聖マリアンナ医科大学 卒業
平成20年 大阪医科大学 大学院 卒業
平成22年 大手美容形成外科 院長 就任
平成27年 メンズサポートクリニック開設
平成28年 メンズサポートクリニック新宿 院長就任
平成28年 医療法人清佑会 理事長 就任
資格
医師免許(医籍登録番号:453182)
保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)
鳥羽洋輔
経歴
平成31年 札幌医科大学医学部医学科 卒業
令和3年 美容皮膚科クリニック 勤務
令和4年 MSクリニック 勤務
資格
美容外科医
医師免許(医籍登録番号:559547)