男性のなかには「生理中のセックスは妊娠しない」や「女性は生理中にセックスしたくなる」といったことを信じている人もいるかもしれません。
実は、これらの認識は誤りで、このような男性側の思い違いに起因する望まぬ妊娠や、感染症への感染といったことは、身近な問題と言われています。
そこでこの記事では、男性専用クリニックの医師が、男性に知っておいてほしい「生理中のセックス」の正しい知識について、分かりやすく解説します。
この記事の目次
生理中のセックスを避けるべき理由
生理中にセックスすることは望ましくありません。生理中にセックスすべきでない理由は以下の通りです。
- 妊娠の可能性がある
- 感染症リスクがある
- 子宮内膜症の可能性がある
- 生理痛や性交痛を招きやすい
それぞれの理由について解説します。
妊娠の可能性がある
生理中のセックスを避けるべき理由のひとつが「妊娠の可能性がある」ということです。生理中は妊娠しないという誤った知識により、避妊せずセックスし、妊娠につながったというケースはよくあります。
また、生理中は妊娠する確率が低いと思い込み、俗に言う「外出し(膣外射精)」で済ませたことで、妊娠につながるパターンも考えられます。
生理中のセックスであっても、妊娠する可能性があることをしっかり覚えておきましょう。
感染症リスクがある
「感染症リスクがある」ことも、生理中のセックスを避けるべき理由です。性感染症の原因である、クラミジア、ヒトパピローマウイルス、淋菌、そして梅毒トレポネーマといった細菌が経血に含まれている可能性があり、それに触れることで感染してしまうかもしれません。
対照的に、女性の場合、生理中は膣内がデリケートな状態になっており、いつも以上に傷つきやすく、セックスの刺激によって男性から女性に細菌感染する可能性があります。
生理中のセックスは、男女ともにあらゆる感染症リスクが高い状態であることを覚えておいてください。
子宮内膜症の可能性がある
生理中のセックスを避けるべき理由は「子宮内膜症の可能性がある」ためです。子宮内膜症とは、子宮内側にある子宮内膜に似た組織が、腹膜や卵巣、卵管といった本来あるべきでない場所で増殖してしまう症状で、月経痛や性交痛を招くことや、腫瘍化して卵巣癌の要因になることもあります。
生理中にセックスすると、ピストン運動や子宮の収縮運動が活発になり、本来であれば体外へ排出されるべき経血が腹腔に逆流し、子宮内膜症を招くとされています。
子宮内膜症になると、生理痛だけでなく、慢性的な下腹部痛や排便痛、そして不妊につながる可能性があるため、女性にとって心身の負担が大きくなることを理解しておきましょう。
生理痛や性交痛を招きやすい
「生理痛や性交痛を招きやすい」ことも、生理中のセックスを避けるべき理由です。生理中、女性の膣は非常にデリケートになっており、わずかな刺激で傷ついたり、出血したりすることが考えられます。
生理中は膣に限らず肌も敏感になりやすいため、人によってはセックスで様々な痛みを感じやすく、恐怖感から普段のセックスでも性交痛を感じてしまうトラウマ化してしまう可能性も否定できません。
生理中のセックスは、非常に敏感な女性に対して、大きな刺激を与える行為であることを忘れないようにしましょう。
生理中のセックスに関するよくある誤解
生理中のセックスに関して、男性が誤解しがちなことは以下の通りです。これらの誤解が女性を苦しめることもあるので、正しい知識を身に付けましょう。
- 女性の性欲が高まる
- 快感が増す
- 妊娠しない
- 生理痛を緩和する
それぞれについて解説します。
女性の性欲が高まる
生理中のセックスでは「女性の性欲が高まる」というのは誤解です。性欲は、その時の体調や精神状態にも左右されるため、必ずしもすべての女性が生理中に性欲が高くなるとは限りません。
生理中に性欲が高まるという見解には、女性ホルモンのエストロゲン、そして性衝動が高くなるとされるテストステロンの分泌量が関係しています。
エストロゲンは、生理中に分泌量が多くなり、胸の張りや膣分泌液を普段よりも増加させ、テストステロンの分泌量が多くなるとセックスに対し積極的になると言われています。
しかし、このことを理由にして男性が一方的に、生理中だから性欲が高いはずと思い込んでいると、生理中であるにもかかわらず、セックスを強要してしまうようなかたちになるので注意してください。
快感が増す
生理中のセックスでは女性の「快感が増す」というのは誤解です。性的快感については、個人差があり、快感を得られる人もいれば、セックスが苦痛でしかないと感じる人もいます。
従って、生理中のセックスは女性に快楽を与えやすいと思い込むのはやめましょう。
妊娠しない
生理中のセックスで「妊娠しない」というのは誤解です。生理中でも妊娠する確率は十分にあります。
このような誤解が広まった理由には、生理によって子宮内膜が新しくなる、つまりリセットされるからといった安易な発想があるようです。
生理中は、平時と比較すると妊娠する確率は低いかもしれませんが、妊娠しない、または避妊しなくていいという考えは禁物です。
生理痛を緩和する
生理中のセックスは「生理痛を緩和する」というのは誤解です。生理痛がある女性と生理中にセックスすることは苦痛を加えることになりかねません。
生理中の女性は膣を中心にしてとても敏感な状態であり、それが性的快感に結びつくとは限らないのです。
セックスで生理痛が緩和されることはなく、むしろ逆効果になると考えましょう。
生理中のセックスで男性が気を付けるべきこと
生理中のセックスはできるだけ控えるべきですが、もし、生理中にセックスするようなことがあれば、以下のことに気を付けてください。
- 無理強いしない
- 避妊対策
- 感染症対策
- 汚れ対策
それぞれの注意点について解説します。
無理強いしない
生理中のセックスでは「無理強いしない」ことが大切です。必ずしもすべての女性が生理中にセックスを望むとは限らず、また、セックスを苦痛に思うこともあることを忘れてはいけません。
男性の性的欲求を満たすことだけを目的にするのはくれぐれも控えてください。
避妊対策
「避妊対策」も生理中のセックスでは必要です。生理中であっても妊娠する可能性は十分にあります。
普段よりも妊娠する確率が低いからと言って、コンドームを使用しない、あるいは外出しで対応するといったことは控えましょう。
感染症対策
生理中のセックスでは「感染症対策」にも気を付けましょう。具体的には、コンドームを使用することや、膣内を傷つけることがないように爪を短くする、そして行為後はシャワーを浴びるなど、男女ともに清潔な状態を保つことが大切です。
汚れ対策
「汚れ対策」は生理中のセックスでは欠かせません。性交中、経血によって寝具が汚れてしまうかもしれません。
寝具が汚れたまま放置すると、その汚れが要因となり、感染症などが広がる可能性がありますので、タオルを敷くなどして、汚れないようにしましょう。
まとめ
生理中のセックスについては、とくに男性側が正しい知識を身に付けておく必要があります。
一般的に言われている、生理中は妊娠しないや、女性の性欲が高まるといったことを鵜吞みにせず、女性の心身を守ることを最優先にしてください。
MSクリニックでは、専門医の診察カウンセリングを無料で行っております。
患者さまのお悩みやご希望をじっくりお伺いした上で、最適な治療法や治療費用、術後のペニスの状態からアフターケアについてなど丁寧にご説明いたします。
この記事の監修医師
葉山芳貴
経歴
平成14年 聖マリアンナ医科大学 卒業
平成20年 大阪医科大学 大学院 卒業
平成22年 大手美容形成外科 院長 就任
平成27年 メンズサポートクリニック開設
平成28年 メンズサポートクリニック新宿 院長就任
平成28年 医療法人清佑会 理事長 就任
資格
医師免許(医籍登録番号:453182)
保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)
鳥羽洋輔
経歴
平成31年 札幌医科大学医学部医学科 卒業
令和3年 美容皮膚科クリニック 勤務
令和4年 MSクリニック 勤務
資格
美容外科医
医師免許(医籍登録番号:559547)