「性行為してないのに性病になった」という経験がある人はいませんか?昨今、感染者数が多いことで注意喚起されている梅毒などはその代表的な性病とされています。
性病への感染を予防する意味においても、感染経路を正しく理解することはとても大切です。そこでこの記事では、医師が性病の正しい知識や「性行為してないのに性病になる」可能性について、わかりやすく解説します。
この記事の目次
性感染症とは
性感染症とは、性行為を通して感染する病気のことです。具体的には、梅毒、淋病、クラミジア、尖圭コンジローマ、そしてHIVなどが該当します。
これまで「性病」と呼ばれていましたが、法律の改正に伴い「性感染症」または「STD(Sexually Transmitted Diseases)」と表現されることが多くなったものの、性病と性感染症は、実質的には同義語として扱われています。
性感染症は、性行為により感染する病気を指していますが、より詳細には、病原菌が含まれている精液や膣分泌液、唾液、そして血液などが、体の粘膜や傷口に付着することで発症する病気を意味します。
これらの接触の大半は性行為で起こるとされていますが、性行為はセックスだけを指しているとは限らないため注意が必要です。
例えば、キス(ディープキス)やオーラルセックス、アナルセックス(肛門性交)、そして素手で性器に触る行為も含まれます。
つまり、セックスはしていないけれどキスで感染するパターンや、傷がある手で病変部に触れることで感染するパターンもある訳です。
性感染症については、その種類だけでなく、感染経路についても正しく理解しておくことが求められます。
性病の感染経路
性行為してないのに性病になる可能性は十分に考えられます。性病に感染する経路は具体的に以下のようなケースがあることを知っておきましょう。
- 性行為
- 性交類似行為
- 咳やくしゃみ
- ピアスやタトゥーの施術
- 母子感染
上記について解説します。
性行為
性病は「性行為」によって感染する確率が最も高いと言えます。とりわけ、コンドームを使用しないセックスにおいては、感染する可能性が高くなります。
膣性交に限らず、肛門性交や同性間の性交でも感染する可能性があります。具体的には、梅毒、淋病、性器クラミジア、尖圭コンジローマ、そしてHIVなどが考えられます。
性交類似行為
「性交類似行為」でも性病に感染する可能性があります。具体的には、オーラルセックス(口腔性交)に該当するフェラチオやクンニリングス、パートナーとの前戯、そしてディープキスなどが含まれます。
主に、梅毒や性器ヘルペスウイルス、クラミジアなどに感染しやすいとされており、口内炎や唇の切り傷などが触れると感染するかもしれません。
咳やくしゃみ
性行為以外で性病に感染する経路には「咳やくしゃみ」も挙げられます。感染する確率は極めて低いものの、咳やくしゃみによって生じる飛沫が粘膜や傷口に付着すると感染してしまう可能性はゼロではありません。
ピアスやタトゥーの施術
「ピアスやタトゥーの施術」は、性行為以外で性病に感染する経路のひとつです。施術に使う器具が十分な消毒がされており、未消毒で使い回していなければ問題ありませんが、感染経路のひとつとして知っておきましょう。
母子感染
性行為以外で性病に感染するケースには「母子感染」も含まれます。これは、生まれてくる赤ちゃんが胎内や産道、そして母乳を通して母親から感染するものです。
具体的には、梅毒(先天梅毒)やクラミジア、淋病などが含まれます。性病感染は大人だけでなく、生まれてくる赤ちゃんにも感染する可能性があることを知っておいてください。
性行為以外でも感染する可能性がある性病
性行為してないのに性病になる場合、主に以下のような性病の感染が考えられます。
- ヘルペス
- 梅毒
- クラミジア
- 淋病
上記の性病について解説します。
ヘルペス
性行為してないのに性病になるケースには「ヘルペス」の感染があります。例えば、キスが原因で感染するかもしれません。
また、オーラルセックス(フェラチオ)によって、主に陰茎に多発性の小水疱といった症状が出る可能性があります。
梅毒
「梅毒」は性行為してないのに感染する性病のひとつです。具体的には、キスによる感染や、オーラルセックスなどで感染することがあります。
傷口の接触によっても感染することがあるため、口内炎をはじめ、唇や手の切り傷などにも注意が必要です。
クラミジア
性行為をしてないのに性病になるパターンには「クラミジア」があります。例えば、オーラルセックスによって、性器から喉へ感染する(逆も然り)や、ディープキスによって喉から喉へ感染するケースが考えられます。
他にも、少数ながら、クラミジアに感染した性器を触った手で眼を触った場合、クラミジア結膜炎を発症することもあります。
淋病
「淋病」も、性行為をしてないのに性病になるケースのひとつとして考えられています。具体的には、ディープキスやオーラルセックスなどによって粘膜が接触することで感染するかもしれません。
淋菌は、粘膜から離れた場合、わずかな時間で死滅するため、性行為以外で感染することは稀とされているものの、キスやオーラルセックスで感染する可能性を否定できないことを知っておいてください。
性感染症の感染経路に関するよくある誤解
性行為してないのに性病になることは起こり得ますが、以下のようなことにおいては過度な心配は不要です。
- 通常の会話
- 握手や手つなぎ
- トイレ
- お風呂
- タオル
- 食器の共有
上記のような場面で性感染症に感染することは考えにくいでしょう。性感染症を引き起こす病原菌は自然発生することはないため、日常的に警戒する必要はありません。
一方、性行為あるいは性交類似行為において、コンドームを着用すれば絶対に感染しないと思い込まないようにしてください。
コンドームを着用したとしても、口や手を通して感染してしまう可能性は十分にあるので注意しましょう。
性病予防に効果的なおすすめの対策
性感染症に感染することを可能な限り予防するには、以下の対策がおすすめです。
- 不特定多数と性交しない
- コンドームを着用する
- 性病検査を受ける
- 包茎手術
- 暴露後感染予防薬(ドキシPEP)
それぞれの対策について解説します。
不特定多数と性交しない
「不特定多数と性交しない」ことは性感染症予防の原則と言えます。相手が何かしらの性病を持っている可能性があり、また、それに気が付いていないかもしれません。
性病予防の観点においては、仮にコンドームを着用するとしても控えるべき行為と言えます。
コンドームを着用する
性病予防には「コンドームを着用する」ことも効果的です。これは粘膜同士の接触を避けるのに有効で、ペニスを通した感染を防ぎます。
一方、コンドームを着用すれば良いとは言い切れず、コンドームを着用しても防ぎきれないことを知っておきましょう。
性病検査を受ける
「性病検査を受ける」ことも性病予防におすすめです。大切なパートナーを守るだけでなく、性病が悪化してしまう前に対処し、ご自身を守ることにもつながります。
包茎手術
性病予防として「包茎手術」もおすすめです。包茎だと恥垢(ちこう)が溜まり、恥垢を温床にして病原菌が増殖しやすくなってしまいます。
このような事態を防ぐためにも、包茎手術によってペニスを清潔に保ちやすい状態にすることをおすすめします。
暴露後感染予防薬(ドキシPEP)
「暴露後感染予防薬(ドキシPEP)」は性行為後に内服する性病感染予防薬です。2023年11月に米CDCが推奨を検討していることを発表した感染予防薬内服プログラムで、2023年12月現在、まだ正式に採用されていませんが、有力な感染予防策として注目されています。
ドキシPEPは、性行為後72時間以内にドキシサイクリン200mgを内服すると梅毒やクラミジアの感染確率を約80%低下させることができるというものです。
これはコンドームによる感染予防効果には及ばないので、コンドームが不要になるというわけではありませんが、コンドームで防げない部分をカバーできるので、非常に注目されています。
まとめ
性行為してないのに性病になることは十分に考えられます。性行為は必ずしもセックスだけとは限りません。
キスやオーラルセックスなどを通して性感染症に感染する可能性があることを覚えておきましょう。
MSクリニックは、包茎手術・早漏治療・長茎術・亀頭増大術などから、AGA薄毛治療など、男性美容まで男性のお悩みを全て解消するメンズクリニックです。
症例豊富な医師をはじめ、看護師も全員が男性ですので、どうぞお気軽にご相談、ご来院ください。
この記事の監修医師
葉山芳貴
経歴
平成14年 聖マリアンナ医科大学 卒業
平成20年 大阪医科大学 大学院 卒業
平成22年 大手美容形成外科 院長 就任
平成27年 メンズサポートクリニック開設
平成28年 メンズサポートクリニック新宿 院長就任
平成28年 医療法人清佑会 理事長 就任
資格
医師免許(医籍登録番号:453182)
保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)
鳥羽洋輔
経歴
平成31年 札幌医科大学医学部医学科 卒業
令和3年 美容皮膚科クリニック 勤務
令和4年 MSクリニック 勤務
資格
美容外科医
医師免許(医籍登録番号:559547)