男性であっても「子宮頸がん(しきゅうけいがん)」という病気について一度は聞いたことがあると思います。
子宮頸がんは、女性の子宮下部の子宮頸部に生じる癌のことで、女性にとって非常に身近な病気とされています。
そんな子宮頸がんは「男性の包茎」と関係があることをご存知でしょうか。大切な女性を子宮頸がんから守るためには、男性も正しい知識を付けておくことが望まれます。
そこでこの記事では、包茎治療の経験が豊富な医師が「子宮頸がんと包茎」について、分かりやすく解説します。
この記事の目次
子宮頸がんとは
子宮頸がんとは、子宮体部(袋状の部分)の入り口にある「子宮頚部」と呼ばれる管状の部位にできる癌のことです。
子宮頚部にできる癌は「子宮頸がん」、子宮体部にできる癌を「子宮体がん」と呼びますが、これらは「子宮がん」としてまとめられることもあります。
子宮がんに占める割合を見ると、約7割が「子宮頸がん」で、3割が「子宮体がん」とされており、子宮頸がんは20代から40代にかけて発症するケースが多いと言われています。
子宮頸がんは、毎年おおよそ10,000人が発症し、約3,000人が死亡しています。子宮頸がんを含む「子宮がん」は、女性がかかる癌のトップ5(乳がん、大腸がん、肺がん、胃がんに次ぐ)に含まれていることから、女性にとって身近な病気と言えるでしょう。
子宮頸がんの主な症状は、不正性器出血をはじめ、異常なおりもの、下腹部痛、排尿痛、そして性交痛などが認められますが、早期においてはほとんど自覚症状を伴わないとされています。
現在では、手術、放射線、そして化学療法を使った治療法が確立されており、5年相対生存率(2009~2011年)は76.5%と、肺がんや胃がんよりも高い状態です。
男性は、子宮頸がんについてこのような特徴があることを知っておきましょう。
子宮頸がんの原因
子宮頸がんは「ヒトパピローマウイルス(HPV)」の感染が原因です。ヒトパピローマウイルスは、ヒトの体に150種類以上も存在する、ごくありふれたウイルスであり、仮に感染したとしても約90%は自然免疫によって排除されます。
子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスは、いわゆる「ハイリスク型HPV(主に16型と18型)」と呼ばれているものです。
免疫力の低下などが要因で、ウイルスを排除できないと、異形成と呼ばれる「前がん病変(がんになる前の状態)」を経て、数年から10年の時間をかけて子宮頸がんに進行すると言われています。
子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルスは、性行為や性交類似行為によって感染することがほとんどです。
例えば、セックスやオーラルセックス、肛門性交、キス(ディープキス)などが該当します。このことから、男性の一部では「女性が子宮頸がんになるのは性的経験が多いから」という誤った認識を生んでいます。
性交体験がある女性の場合、50歳までにヒトパピローマウイルスに感染する確率は80%以上とされていることから、実質的には「性交体験がある人なら男女問わず誰もが感染する」と言っても過言ではありません。
感染しても、90%以上が自然免疫によって排除されることや、感染後の自覚症状を伴わないことがほとんどのため、実は感染に気が付いていないだけというケースが多々あります。
従って、子宮頸がんになった女性の性交経験が多いと決めつけたり、浮気や不倫を疑ったりすることは好ましくありませんので、男性は正しい知識を持つようにしましょう。
子宮頸がんと包茎の関係性
子宮頸がんと包茎の関係性を巡っては、包茎でない男性との性交においては、子宮頸がんのリスクが低いことが報告されています。
これは世界で最も権威ある総合医学雑誌とされている「The New England Journal of Medicine」に掲載された論文のひとつで、包茎でないことが子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルス感染のリスクを減少させるかどうかを検証したものです。
結論では、包茎でない男性は、自身がヒトパピローマウイルスに感染すること、そしてパートナーの女性が子宮頸がんになるリスクを減少させることを示唆しています。
つまり、包茎でないことは、パートナーの子宮頸がん発症のリスクを抑えるのに一定の効果があると考えられている訳です。
子宮頸がんを予防する方法
子宮頸がんと包茎はまったく無関係とは言えません。子宮頸がんを予防するためには、以下のようなことに気を付けましょう。
子宮頸がんを予防するために、男性がすべきこともありますので、しっかり認識しておいてください。
- コンドームを着用する
- HPVワクチンの接種
- 子宮頸がん検診
- 包茎手術
コンドームを着用する
子宮頸がんを予防するには「コンドームを着用する」ことがおすすめです。コンドームを着用することは、性器の粘膜を通じてヒトパピローマウイルスに感染するのを防ぐのに有効とされています。
ヒトパピローマウイルスに感染しているかどうかは自覚症状がほとんどないため、気がつかないまま、女性にリスクを負わせてしまうことになりかねませんので、大切なパートナーを守るためにも積極的にコンドームを着用するよう心掛けてください。
HPVワクチンの接種
「HPVワクチンの接種」は、子宮頸がんの予防に有効と考えられています。基本的には小学6年生から高校1年生頃までの、性交を経験する前に2回接種することが理想です。
既に性交体験を終えている成人女性の場合であっても、未感染のHPVに対する効果が期待できるため、接種を検討してもよいでしょう。
宮頸がん検診
子宮頸がんを予防するためには「子宮頸がん検診」もおすすめです。20歳を過ぎた女性であれば、2年に1回の頻度で公費助成制度を使って受けられます。
大切に思っているパートナーの健康のために、男性から女性へ子宮頸がん検診を薦めてあげるのもよいでしょう。
包茎手術
「包茎手術」は子宮頸がんを予防するうえで、男性ができることの一つです。包茎の場合、亀頭包皮炎を起こしやすく、そこからヒトパピローマウイルスをはじめとする様々なウイルスや細菌に感染しやすくなり、結果として女性に負担を負わせるかもしれません。
このような事態を防ぐためにも、包茎手術はとても有効です。性病や早漏の予防、さらにED(勃起不全)の回避も期待できますので、包茎を治療することは男女ともにメリットがあると言えます。
まとめ
子宮頸がんと包茎は一定の関係性があることが分かったと思います。
子宮頸がんを予防するためだけでなく、性感染症の感染や拡大を防ぐためにも、男性にはコンドームを着用することや包茎治療などの取り組みが求められます。
同時に、女性が子宮頸がんを発症した際に、性交体験が多いと思い込むことや、浮気などを疑うようなことはやめましょう。
男性も子宮頸がんについての正しい知識を身に着けて、大切なパートナーの健康のために協力できることはないか、考えておきたいですね。
MSクリニックでは、包茎手術・早漏治療・長茎術・亀頭増大術などから、AGA薄毛治療など、男性美容まで男性のお悩みを全て解消するメンズクリニックです。
包茎手術をするべきかどうかお悩みの場合も、経験豊富な医師が事前のカウンセリングでご相談をお受けしています。
看護師も全員が男性ですので、どうぞお気軽にご相談、ご来院ください。
この記事の監修医師
葉山芳貴
経歴
平成14年 聖マリアンナ医科大学 卒業
平成20年 大阪医科大学 大学院 卒業
平成22年 大手美容形成外科 院長 就任
平成27年 メンズサポートクリニック開設
平成28年 メンズサポートクリニック新宿 院長就任
平成28年 医療法人清佑会 理事長 就任
資格
医師免許(医籍登録番号:453182)
保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)
鳥羽洋輔
経歴
平成31年 札幌医科大学医学部医学科 卒業
令和3年 美容皮膚科クリニック 勤務
令和4年 MSクリニック 勤務
資格
美容外科医
医師免許(医籍登録番号:559547)