「40代に入ってから性欲が低下した気がする」や「若い頃に比べて勃起力が下がった」といった機会が増え、ご自身の性欲を不安に思っている男性は多いのではないでしょうか。
40代男性における性欲の低下は、男性更年期障害の発症が疑われるため、性欲低下の兆候や原因、そして解消法をしっかり理解しておくことが心身の健康のためにも重要です。
この記事では男性更年期障害の治療実績が豊富な医師が、性欲の低下に悩む40代男性に向けて、男性更年期障害のポイントを分かりやすく解説します。
この記事の目次
40代男性における性欲減退の兆候
40代男性において、性欲が低下している兆候として以下のようなことが挙げられます。これらの症状に心当たりがある場合は、男性更年期障害の疑いがあると認識しましょう。
- 朝立ちしない
- 中折れする
- 性的興奮の減少
- 身体症状の変化
- 精神症状の変化
それぞれ解説します。
朝立ちしない
40代男性において性欲が低下していることを示す分かりやすい兆候が「朝立ちしない」です。医学的には「夜間勃起現象(Nocturnal Penile Tumescence)」と呼ばれ、男性の生殖機能を正常に保つために不可欠な生理現象とされています。
朝立ちによって、定期的に球海綿体筋や恥骨尾骨筋といった勃起に必要な筋肉の収縮運動を促したり、陰茎海綿体に血液を流したりすることで、男性としての生殖機能を維持している訳です。
朝立ちしない理由については、日本泌尿器科学会がまとめた加齢男性性腺機能低下症候群診療の手引き(*)によると、男性ホルモンであるテストステロンを含むアンドロゲンが低下することに起因するとあります。
中折れする
「中折れする」も40代男性における性欲低下の兆候と言えます。中折れが起きる仕組みは、勃起した際に陰茎動脈へ流れ込んだ血液を維持できないことです。
このようなことが起きる要因としては、動脈硬化に起因する血管障害や神経障害、そして中折れを不安に感じてしまう心理的ストレスなどが考えられ、40代はその確率が高くなり始める頃とされています。
性的興奮の減少
「性的興奮の減少」も性欲低下の兆候です。医学では「リビドー(性的本能に基づく衝動)低下」と呼ばれることもあります。
若い頃と比べて女性に魅力を感じなくなったり、マスターベーションする機会が減ったりすることで実感できるでしょう。
性的興奮が減少することは、男性更年期障害の症状のひとつである「性機能障害(*)」に含まれます。
身体症状の変化
40代男性の性欲低下の兆候として「身体症状の変化」もあります。具体的には、体調不良、筋力低下、ホットフラッシュ(発汗や火照り)、倦怠感、さらには髭の伸びが遅くなるといったことが含まれます。
これらの身体症状は、男性更年期障害の典型的な諸症状とされており、性欲低下とも関係が深いと考えましょう。
精神症状の変化
「精神症状の変化」も性欲低下の兆候です。例えば、イライラや不安、神経過敏、無気力、そして精神的な疲労感などが含まれます。
このような精神症状は、男性更年期障害でよくある症状です。40歳を過ぎてから性欲低下のほかに、精神不調を感じるような場合は、男性更年期障害を疑った方がよいでしょう。
40代男性の性欲減退の原因
40代男性における性欲低下の原因は以下のようなことが考えられます。
- 糖尿病
- 肥満や運動不足
- 心血管疾患(高血圧)
- テストステロンの低下
- 神経疾患
- 不安やストレスなどの精神疾患的要素
- 服用している薬剤の副作用
上記の原因について解説します。
糖尿病
「糖尿病」は性欲低下やEDを招く大きな原因です。糖尿病によって血管障害や神経障害を招き、勃起しにくくなり、結果として性欲低下を実感します。
2016年に厚生労働省が発表した「国民健康・栄養調査(*)」によると、40代男性で糖尿病が強く疑われる者は3.8%、糖尿病の可能性を否定できない者は4.7%とあり、約170万人がいずれかに該当することから、糖尿病は身近な原因と言えるでしょう。
肥満や運動不足
「肥満や運動不足」も性欲低下やEDを招く要因とされています。ED診療ガイドライン(*)では、肥満や運動不足はEDを招くリスクファクターのひとつに挙げられています。
肥満は糖尿病やEDにつながる動脈硬化の温床とも言え、肥満であること自体が性欲に悪影響を及ぼしているかもしれません。
心血管疾患
「心血管疾患」も原因のひとつです。代表的なものが高血圧で、高血圧患者におけるED発症の頻度の高さは世界中で報告されています。
前述のED診療ガイドライン(*)では、高血圧の症状がある男性だけでなく、高血圧治療に用いられる降圧薬によっても勃起機能に悪影響が及ぶ可能性が指摘されています。
テストステロンの低下
「テストステロンの低下」はEDや男性更年期障害を招く原因として考えられています。テストステロンの分泌量が低下することで神経、血管、そして海綿体組織といった性機能に関係する働きが損なわれると言われています。
対照的に、性欲低下といった症状を伴う男性更年期障害の治療では、男性ホルモン補充療法が主流であることから、テストステロンレベルと性欲は結びつきが強いと言えます。
不安やストレスなどの精神疾患的要素
「不安やストレスなどの精神疾患的要素」も性欲に悪影響を及ぼす原因です。情緒的な問題やストレス、うつ病といった症状がある男性は、勃起機能の低下を伴うことが多いとされています。
セックスに対する失敗体験や包茎、早漏など、ペニスのコンプレックスなどが影響し「心因性ED」を発症しているかもしれません。
服用している薬剤の副作用
性欲低下は「服用している薬剤の副作用」が原因の可能性もあります。ED診療ガイドライン(*)では、降圧薬、抗うつ薬、そして男性型脱毛症といったものが勃起障害を誘発する要因になり得ると指摘しています。
日常的に使用している薬剤が性欲低下やED、そして男性更年期障害の要因になっているかもしれないため、注意すべき原因と言えるでしょう。
40代男性の性欲減退を解消する方法
40代男性における性欲減退は男性更年期障害のサインと考え、改善に向けて以下のことに取り組むことをおすすめします。
- 生活習慣の改善
- ED治療薬
- 男性ホルモン補充療法
上記の方法について解説します。
生活習慣の改善
最も基本的な取り組みとして「生活習慣の改善」に取り組みましょう。具体的には、高カロリーや高塩分の食事を控える、アルコールを減らすといった食生活の改善をはじめ、運動や睡眠、そして禁煙も重要です。
ED治療薬
「ED治療薬」も性欲減退を改善するのに有用です。勃起力に不安がある男性や、自信を取り戻したいと思っている場合におすすめです。
ED治療薬を入手する際は、男性専用クリニックや泌尿器科などの医療機関を受診し、医師に処方してもらいましょう。
男性ホルモン補充療法
40代男性に多く見られる性欲減退などの症状を改善するには「男性ホルモン補充療法」もおすすめです。
これは、血中テストステロンレベルを検査し、不足している分を注射等で補う治療法で、加齢男性性腺機能低下症候群診療の手引き(*)においても有用な治療法として挙げられています。
性欲低下といった男性更年期障害の症状に心当たりがある場合は、まず医師に相談し、検査を受けることをおすすめします。
まとめ
40代男性の性欲が低下することは決して珍しいことではありません。
性的興奮の減少や、勃起機能の低下などを通じて実感することが多いと思いますが、これらは男性更年期障害の兆候と捉えた方がよいでしょう。
解消に向けては、生活習慣の改善、ED治療薬、そして男性ホルモン補充療法といった選択肢がありますので、まずは医師に相談することからはじめてください。
MSクリニックでは、ED治療を始め、包茎手術・早漏治療・長茎術・亀頭増大術などから、薄毛治療、男性更年期治療など、男性のさまざまなお悩みに向き合うメンズクリニックです。
医師をはじめ、看護師も全員が男性ですので、どうぞお気軽にご来院ください。
この記事の監修医師
葉山芳貴
経歴
平成14年 聖マリアンナ医科大学 卒業
平成20年 大阪医科大学 大学院 卒業
平成22年 大手美容形成外科 院長 就任
平成27年 メンズサポートクリニック開設
平成28年 メンズサポートクリニック新宿 院長就任
平成28年 医療法人清佑会 理事長 就任
資格
医師免許(医籍登録番号:453182)
保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)
鳥羽洋輔
経歴
平成31年 札幌医科大学医学部医学科 卒業
令和3年 美容皮膚科クリニック 勤務
令和4年 MSクリニック 勤務
資格
美容外科医
医師免許(医籍登録番号:559547)