男性更年期障害の治療法として広く知られている方法が「男性ホルモン(テストステロン)補充療法」です。
40歳を超えたあたりから、活力や性欲がなくなったり、精神状態が不安定になったりすることに心当たりがある男性は、ひょっとすると男性ホルモンが低下して男性更年期障害を発症しているかもしれません。
様々な症状を伴う男性更年期障害ですが、男性ホルモン補充療法によって改善できることが多く、自分が男性更年期障害かもしれないと感じる男性は、ぜひとも知っておきたい治療法です。
そこでこの記事では「男性ホルモン(テストステロン)補充療法」について、男性更年期障害の治療実績が豊富な医師が分かりやすく解説します。
この記事の目次
男性ホルモン(テストステロン)補充療法とは
男性ホルモン(テストステロン)補充療法とは、基準値以下に低下している分の男性ホルモンを補充する治療法です。
男性ホルモンを注入する方法としては、注射、点滴、さらに塗り薬などの方法があります。テストステロンをはじめとする男性ホルモンの基準値がどの程度低下しているかは、事前の血液検査を通して判断します。
実際に、男性ホルモン(テストステロン)補充療法を実施するかどうかについては、男性ホルモンの不足加減だけでなく、性機能障害の有無や、心理状態、そして身体的な症状なども考慮したうえで判断する必要があります。
男性ホルモン(テストステロン)補充療法の流れ
男性ホルモン(テストステロン)補充療法を受ける際は、以下のような流れを辿ります。
- 1.問診(採血)
- 2.検査結果説明
- 3.治療開始
それぞれ内容の詳細を解説します。
問診(採血)
男性ホルモン(テストステロン)補充療法は「診察(採血)」から始まります。問診では、どのような症状でお悩みなのかや、既往歴(これまでにかかった病気)、治療方針などについて医師としっかり話し合います。
また、採血する目的は、血液中の遊離テストステロンやプロラクチンといったホルモン量、さらには脂質、糖質、前立腺特異抗原などの値を確認するためで、これらの値を知ることが男性更年期障害治療の根幹となります。
検査結果説明
採血の結果は、おおよそ1週間後に判明するため、初診から約1週間後に「検査結果説明」を行います。
この段階では、血液検査の結果を元に、現状の説明そして、より具体的な治療方針を打ち合わせます。
ホルモン量が規定値以下であった場合、なおかつ医師が妥当と判断すれば、男性ホルモン補充療法を実施することになります。
治療開始
男性更年期障害の治療は、実質的に2回目の来院時からです。男性ホルモン補充療法以外にも、身体的な不調改善に対する漢方の提案、性機能障害がある場合は、ED治療薬の処方などがあります。
なお、注射等による男性ホルモン補充療法は、ホルモン量の不足具合によっては1回だけとは限らず、3~4週間に1回の頻度で継続的な補充が必要になるかもしれません。
男性更年期障害(LOH症候群)とは
男性ホルモン(テストステロン)補充療法は、男性更年期障害の治療に有用とされていますが、男性更年期障害の主な症状や原因についても合わせて理解しておくことをおすすめします。
男性更年期障害の主な症状
男性更年期障害の主な症状には以下のようなことが挙げられます。
- 性欲低下によるED(勃起不全)
- 認知機能の低下
- 気分変調症
- 睡眠障害による疲労
- 毛髪や皮膚の老化
- 筋力低下
- 異常発汗
この他にも、全身の倦怠感や無気力、ほてり、めまいなど、症状は様々で、個人差も認められます。
また、代表的な初期症状として、イライラ、活力低下、慢性疲労、そして満足な勃起状態にならないED(勃起障害)があります。
男性更年期障害の症状は、日常生活の中で起こりやすいものが多く、それが男性更年期障害によるものと認識しにくいかもしれません。
これらの症状に当てはまる場合は、男性更年期障害を疑った方がよいでしょう。
男性更年期障害の主な原因
男性更年期障害の原因には、以下のようなことが考えられます。
- 男性ホルモンの減少
- ストレス
- 生活習慣
男性更年期障害を発症する原因として最も考えられるのが、男性ホルモンの減少です。男性ホルモンの分泌量が減少する要因は様々で、加齢以外にも、ストレス、寝不足、運動不足といった生活習慣も大きく影響します。
とりわけ、ストレスの影響は大きいと考えられており、ストレスが多いとテストステロンの分泌が抑制されてしまいます。
男性更年期障害が40歳頃から多く見られるひとつの傾向として、そもそも男性ホルモンの分泌量が減り始める年齢であるのに加え、仕事や家庭において様々なストレスを抱えやすい年代ということが重なっていることが考えられます。
男性更年期治療の代表例
男性更年期障害の治療法には、男性ホルモン補充療法をはじめ、いくつかの選択肢がありますので、知っておきましょう。
男性ホルモン(テストステロン)補充療法
「男性ホルモン(テストステロン)補充療法」は、男性更年期障害の代表的な治療法です。不足している男性ホルモンを補充することで、心身における様々な症状の改善を図ります。
男性ホルモン量の基準は、年齢によって差がありますが「遊離型テストステロン値が8.5pg/ml」未満だと、男性ホルモン補充療法の対象とされています。
漢方薬
男性更年期障害の治療法として「漢方薬」もあります。男性更年期障害の症状があるものの、男性ホルモン補充療法の対象とならない場合や、疲労感、うつ状態などの辛い症状がある場合に漢方薬を用います。
ED治療薬
「ED治療薬」は、性機能障害を伴う男性更年期障害に効果的な治療法です。満足な勃起に至らない、勃起に対する不安があるため性欲が低下する一方といった人に適しています。
ED治療薬によって性機能が改善された結果、心身の不調が改善することは十分に考えられますので、EDの傾向がある男性は試す価値は高いでしょう。
男性ホルモン(テストステロン)補充療法に関するよくある質問
男性ホルモン(テストステロン)補充療法に関するよくある質問を紹介します。
男性ホルモン(テストステロン)補充療法はどこで受けられますか?
男性更年期治療を手がける医療機関です。なかでも、男性ホルモン補充療法を実施している、男性専用クリニックがおすすめです。
男性更年期治療は保険が使えますか?
血液検査後、男性更年期外来での受診および治療は利用可能です。なお、初回診療時の血液検査は自費診療で、それ以降は治療内容によって保険適用外になることもあります。
男性ホルモン(テストステロン)補充療法による副作用はありますか?
体重増加、肝機能障害、ニキビ、体毛が増えるといった副作用が考えられます。いずれも個人差がありますが、過度な心配は不要です。
どれくらいの期間続ける必要がありますか?
月1回の頻度で、3ヶ月程度継続することをおすすめします。
何歳までに受けるのがいいですか?
年齢による制限はありません。少しでも男性更年期障害の症状に該当する場合は、まずは血液検査から始めてみましょう。
まとめ
男性ホルモン(テストステロン)補充療法は、男性更年期障害の治療としておすすめです。
とくに40歳を超えた男性で、身体的な不調、精神的な不調、そして性機能に関する不安などがある場合は、男性更年期障害を疑い、早めに医師に相談するようにしてください。
MSクリニックは、男性治療専門のクリニックで、医師、看護師は全て男性です。
10代から80代の幅広い年代の方がご来院されています。
予約制と個室対応で、他の患者さまと顔を合わせることもありませんので、気兼ねなくご来院いただけます。
この記事の監修医師

葉山芳貴
経歴
平成14年 聖マリアンナ医科大学 卒業
平成20年 大阪医科大学 大学院 卒業
平成22年 大手美容形成外科 院長 就任
平成27年 メンズサポートクリニック開設
平成28年 メンズサポートクリニック新宿 院長就任
平成28年 医療法人清佑会 理事長 就任
資格
医師免許(医籍登録番号:453182)
保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)