「男性も更年期障害になるの?」や「男性の更年期障害の症状にはどんなものがある?」と疑問を持ったことがある人は多いと思います。
男性の更年期障害は「身体・精神・性機能」の3つで起こりやすいとされており、年齢を重ねた男性であれば、なんらかの症状を経験すると言っても過言ではありません。
そこでこの記事では「男性の更年期障害」に関して、その症状や治療法、さらに対策といったことについて医師がわかりやすく解説します。
この記事の目次
男性の更年期障害とは
男性の更年期障害とは、加齢によってテストステロンの分泌量が減少することで起こる様々な症状のことです。
医学では、男性の更年期障害を「加齢男性性腺機能低下症候群」または「LOH症候群(late-onset hypogonadism)」と呼びます。
男性の更年期障害の具体例としては、全身の倦怠感や関節痛、骨密度の低下といった「身体的な症状」に加え、イライラや無気力、記憶力の低下といった「精神的な症状」が挙げられます。
さらに、勃起不全(ED)や性欲減退、朝立ちしなくなるといった「性機能」に関連する症状も含まれます。
日本国内では、おおよそ600万人の潜在患者がいるとされており、発症者の年代は、40代後半から多くなり、50代から60代の比率が最も大きくなります。
男性の更年期障害は女性のものと比べると認知度が低く、諸症状に対し「年齢のせい」で片付けてしまいがちです。
男性の更年期障害治療としては、男性ホルモン(テストステロン)投与やED治療薬などがあり、男性の更年期障害は治療可能な症状です。
男性の更年期障害の主な症状
男性の更年期障害の主な症状として以下のようなものがあります。
- 性欲低下によるED(勃起不全)
- 認知機能の低下
- 気分変調症
- 睡眠障害による疲労
- 毛髪や皮膚の老化
上記それぞれについて解説します。
性欲低下によるED(勃起不全)
男性の更年期障害の代表的な症状と言えるのが「性欲低下によるED(勃起不全)」です。テストステロンが減少することで性欲が低下、その結果満足な勃起に至らない、または勃起しない症状を招きます。
認知機能の低下
男性の更年期障害の症状には「認知機能の低下」もあります。認知機能および脳機能の低下は、記憶の形成を司る「海馬」内のテストステロンが減ると起きる考えられています。
気分変調症
男性の更年期障害には「気分変調症」という症状も含まれます。例えば、何事に対しても気力が湧かなかったり、自信がなくなったりし「うつ病」状態になって、身体的な不調を招くこともあります。
睡眠障害による疲労
男性の更年期障害の症状として「睡眠障害による疲労」もあります。ストレスをはじめとする心因的な要因によって睡眠が不十分になり、そのまま回復せず、疲労が蓄積していく悪循環です。
毛髪や皮膚の老化
男性の更年期障害においては「毛髪や皮膚の老化」も症状のひとつです。例えば、抜け毛はストレスなどで起こり、更年期障害による心身バランスが崩れることで、毛や皮膚に老化現象が表れます。
男性の更年期障害の治療法
男性の更年期障害を治療する方法には以下のようなものがあります。
- 男性ホルモン補充療法
- ED治療薬
- 漢方薬
上記についてそれぞれ解説します。
男性ホルモン補充療法
男性の更年期障害を治療する方法として代表的なものが「男性ホルモン補充療法」です。検査の結果、「遊離型のテストステロン値が8.5pg/ml」を下回るとホルモン補充療法の対象となり、注射や外用薬などの方法で投与します。遊離型のテストステロン値がこれより高い場合は症状に合わせた対症療法がメインとなります。
ED治療薬
男性の更年期障害治療として「ED治療薬」もあります。とくに、勃起しないといった性機能に関連する症状の改善に効果的で、バイアグラやシアリスなどを処方します。
漢方薬
男性の更年期障害を治療するのには「漢方薬」を使った方法もあります。男性ホルモン補充療法の基準に満たないものの、辛い症状でお悩みの場合は、漢方薬から始めることも効果的です。
男性の更年期障害におすすめの対策
男性の更年期障害にならないために取り組みたいおすすめの対策法について解説します。
ストレス発散
「ストレス発散」は更年期障害対策としておすすめです。ストレスが蓄積すると交感神経が優位になり、脳からテストステロンの分泌を抑制する指令が出やすくなります。
テストステロンの分泌を正常の範囲内に保つためには、副交感神経が優位な状態が望ましく、日頃からストレスを溜めないようにする取組みが重要です。
適度な運動
「適度な運動」も更年期障害を防ぐのにおすすめです。具体的には、筋力トレーニングがおすすめで、腕立て伏せやスクワットといった筋トレは、テストステロンをはじめ成長ホルモンの分泌を促進する効果が見込めます。
生活習慣の改善
「生活習慣の改善」も更年期障害対策としておすすめです。とくに、運動、睡眠、そして食事の見直しから始めましょう。
食事においては、タンパク質に加え、男性ホルモンの分泌に有効なネギ類やアボカド、さらには納豆といった食材を取り入れることをおすすめします。
男性の更年期障害の主な原因
男性の更年期障害は「男性ホルモンの減少」と「ストレスの増加」が主な原因です。
男性ホルモンの減少
「男性ホルモンの減少」は加齢とともに進行するものですが、基準値を下回らないようにすることが大切です。
基準値は年齢によって異なりますが、目安として「遊離型のテストステロン値が8.5pg/ml」を下回るとホルモン補充療法の対象となります。
ストレスの増加
「ストレスの増加」は更年期障害を招く原因です。仕事や家庭などにおいて様々な責任や重圧が生じやすい40代後半からはとくにストレスが溜まりやすくなります。
ストレスが増加すると、テストステロンの分泌が抑制されてしまい、結果的に更年期障害(LOH症候群)の諸症状が生じやすくなります。
男性の更年期障害を放置した場合の影響
男性の更年期障害を放置すると以下のような影響が生じる可能性があります。
心筋梗塞や狭心症などの発生リスク
更年期障害を放置すると「心筋梗塞や狭心症などの発生リスク」が高くなります。男性ホルモンが減少することで、メタボや高血圧を招き、血管が圧迫されて心筋梗塞や狭心症といった重度な症状につながることもあります。
認知症の可能性
更年期障害を放置することは「認知症の可能性」を高めるかもしれません。男性ホルモンが低下することで「もの忘れ」や「集中力の低下」が起こりやすくなり、脳機能の健全化が失われてしまいます。
男性の更年期障害に関するよくある質問と回答
男性の更年期障害に関するよくある質問を紹介します。
年齢は何歳くらいから始まりますか?
40代後半から始まり、50代から60代にかけて多くなるとされています。
何科で診療してもらえばいいですか?
かかりつけの医師がいるなら、まずはかかりつけの医師にご相談ください。かかりつけの医師がいないなら、泌尿器科となります。また、男性の更年期障害治療に対応している「男性専用クリニック」などもおすすめです。
30代も男性の更年期障害になりますか?
はい。30代でも更年期障害の症状が生じることは十分にあり得ます。
男性の更年期障害改善に効果がある食べ物はありますか?
男性ホルモン(テストステロン)の分泌を助ける玉ねぎ料理や焼き肉、レバニラ炒め、納豆やオクラといった「ねばねば食材」も効果的です。
男性の更年期障害はどれくらいで治るのでしょうか?
一般的には、半年から1年ほどかかるとされています。ストレスなどの精神的な症状については、環境の変化を求められることもあるため、さらに長い期間かかるかもしれません。
まとめ
男性の更年期障害は身体的な症状、精神的な症状、そしてEDなどの性機能に関する症状があります。
いずれも、男性ホルモンであるテストステロンの減少が大きく影響するため、諸症状にお悩みの男性は医師に相談することをおすすめします。
MSクリニックは、男性治療専門のクリニックで、医師、看護師は全て男性です。
予約制と個室対応で、他の患者さまと顔を合わせることもありませんので、気兼ねなくご来院ください。
この記事の監修医師

葉山芳貴
経歴
平成14年 聖マリアンナ医科大学 卒業
平成20年 大阪医科大学 大学院 卒業
平成22年 大手美容形成外科 院長 就任
平成27年 メンズサポートクリニック開設
平成28年 メンズサポートクリニック新宿 院長就任
平成28年 医療法人清佑会 理事長 就任
資格
医師免許(医籍登録番号:453182)
保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)