勃起時のペニスが硬くなり、その硬さが一定時間にわたって持続することを俗語で「フル勃起」と表現することがあります。
若い頃の勃起状態は常に「フル勃起」だったのに、加齢と共に「フル勃起しなくなった」や「自分の勃起時はフル勃起とは言えないかも」と悩む男性は多くなります。
この記事では、フル勃起と呼ばれる基準や、その状態から推測できるED(勃起不全)の可能性、治療法などについて解説します。
この記事の目次
フル勃起(勃起状態)とは
はじめに、フル勃起の目安となる基準について解説します。
勃起時の硬さ
勃起状態を判断するうえで最も分かりやすい基準となるのが「硬さ」です。
勃起時にどの程度まで硬くなるかで評価します。後述しますが、勃起時の硬さを「果物の硬さ」と比較することが一般的です。
ひとつの目安として「りんご」の硬さ程度であれば、十分な勃起状態と評価でき「フル勃起」と言えるでしょう。
勃起時の角度
次に、勃起状態を評価するうえでポイントになるのが「勃起時の陰茎の角度」です。
いわゆるフル勃起状態であれば、ペニスを横から見た際に角度が鋭角になります。一般的には「60度から85度」の角度が多く、この角度内あるいはこれ以上であれば十分に「フル勃起」と言えるでしょう。
手のひらを自身の顔に向けた状態で目一杯広げた時に、親指は20代、人差し指は30代、中指は40代、薬指は50代、そして小指は60代の「勃起時の角度」を示していると言われています。
この方法は医学的な根拠などはない俗説ではあるものの、ひとつの目安として参考に出来るでしょう。
勃起時の持続時間
フル勃起の状態がどれくらい持続するかも重要なポイントです。
一般的に、勃起状態の持続時間は「10分程度」とされていますが、環境や心理的な条件によって大きく変化します。
また、性交(挿入から射精まで)における平均は「5分程度」とされていることから、勃起状態の持続時間については一概に基準を示せないのが実情です。
したがって「勃起してから射精するまで勃起状態がそのまま持続するかどうか」で判断することになります。
性交にかかる時間
勃起状態が性交時において持続するかどうかも「フル勃起」の評価ポイントです。
一般的に、性交にかかる時間は「5分程度」が平均とされています。つまり、性交時に5分以上にわたって勃起状態が持続するかどうかで判断できます。
性交で射精まで至るものの何度も中折れする場合は、フル勃起しているとは言えず、EDを疑った方がよいでしょう。
フル勃起(勃起状態)の硬さを判断する基準
フル勃起の状態を評価するうえで最も分かりやすいのが「硬さ」です。この硬さを評価する際に用いられる基準である「EHS」を紹介します。
EHS(Erection Hardness Score)日本語版
これまでと比較して勃起状態の硬さに変化を感じる人は、以下の基準を参考に自己診断してみてください。
全5段階評価で、グレードによって硬さのサンプルとなる果物が記されています。
- グレード0:陰茎は大きくならない
- グレード1(こんにゃく):陰茎は大きくなるが、硬くはない
- グレード2(みかん):陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない
- グレード3(グレープフルーツ):陰茎は挿入には十分硬いが、完全には硬くはない
- グレード4(りんご):陰茎は完全に硬く、硬直している
グレード1および2に該当する場合は「ED(勃起不全)」です。また、グレード3に当てはまり、なおかつ満足できる性交に至らない場合は「ED治療の対象」になります。
EHSは実際のED外来で使用されることもある基準ですので、勃起状態の硬さを知る際に使うことをおすすめします。
自分で出来るEDの診断方法
満足できるほどのフル勃起にならない人や、ひょっとしてEDかも?と感じている人は、ED外来で使用されている国際基準の問診票「IIEF 5(International Index of Erectile Function 5)」を試してみてください。
IIEF-5(国際勃起機能スコア)
以下5つの設問に対する回答の点数を合計してください。
- 1.勃起してそれを維持する自信はどの程度ありますか?
-
- 1点:非常に低い
- 2点:低い
- 3点:中くらい
- 4点:高い
- 5点:非常に高い
- 2.性的刺激によって勃起した時、どれくらいの頻度で挿入可能な硬さになりますか?
-
- 0点:性的刺激はなかった
- 1点:ほとんど、又は全くならなかった
- 2点:たまになった(半分よりかなり低い頻度)
- 3点:時々なった(ほぼ半分の頻度)
- 4点:しばしばなった(半分よりかなり高い頻度)
- 5点:ほぼいつも、又はいつもなった
- 3.性交の際、挿入後にどれくらいの頻度で勃起を維持できますか?
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- 0点:性交を試みなかった
- 1点:ほとんど、又は全く維持できなかった
- 2点:たまに維持できた(半分よりかなり低い頻度)
- 3点:時々維持できた(ほぼ半分の頻度)
- 4点:しばしば維持できた(半分よりかなり高い頻度)
- 5点:ほぼいつも、又はいつも維持できた
- 4.性交の際、性交を終了するまで勃起を維持するのはどれくらい困難ですか?
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- 0点:性交を試みなかった
- 1点:極めて困難だった
- 2点:とても困難だった
- 3点:困難だった
- 4点:やや困難だった
- 5点:困難でなかった
- 5.性交を試みた時、どれくらいの頻度で性交に満足できましたか?
-
- 0点:性交を試みなかった
- 1点:ほとんど、又は全く満足できなかった
- 2点:たまに満足できた(半分よりかなり低い頻度)
- 3点:時々満足できた(ほぼ半分の頻度)
- 4点:しばしば満足できた(半分よりかなり高い頻度)
- 5点:ほぼいつも、又はいつも満足できた
上記5つの設問に対する各回答の合計スコアで、以下のED診断が可能です。
- 22-25点:正常
- 17-21点:軽症ED
- 12-16点:軽症EDもしくは中等症ED
- 08-11点:中等症ED
- 05-07点:重症ED
EDのタイプ
勃起状態に満足できない人はEDを疑った方がよいかもしれません。EDは大きく2つの要因に区別されることを知っておくとよいでしょう。
器質性のED
器質性EDとは、血管・神経・分泌器といった身体の障害が原因となり、物理的に勃起しなくなることです。
具体的には、加齢による動脈硬化(血管の老化)、糖尿病や高血圧といった生活習慣病、さらには内分泌系の機能低下によるテストステロン減少などが挙げられます。
他にも、ペニスリングやペニスポンプなどを使用した結果、陰茎の血管や神経が損傷してしまい、勃起不全になってしまうケースもあります。
心因性のED
心因性EDとは、精神的または心理的な要因で勃起不全を起こすことです。
例えば、仕事や夫婦間でのストレスをはじめ、子作りに対する責任やプレッシャーを感じることで起きるケースです。
心因性EDを知るひとつの目安として、マスターベーションではフル勃起になるのに、パートナーとの性交になると勃起しない、または中折れしてしまうことが挙げられます。
勃起の状態を改善するために出来ること
勃起状態を改善するために出来ることを紹介します。ポイントは「自覚」、「相談」そして「治療」の3つです。
EDの特徴を理解し自覚する
まずは、現在の勃起状態がEDに該当するかどうかを理解しなければいけません。
そのためにはEDの特徴を把握し、自分がED治療の対象になるかどうかを自覚しましょう。この記事内で紹介した「EHS」や「IIEF-5」を参考にしてみてください。
勃起力の低下やEDの諸症状については、年齢以外にも関係している要素がたくさんありますので、それらの特徴を理解することが大切です。
医師に相談する
フル勃起にならないことやEDの懸念がある場合は、医師に相談しましょう。
近年におけるED治療の相談はとても手軽で、10分程度の時間でカウンセリングから処方までが完了します。
また、ED治療をめぐっては、インターネット上に様々な誤情報やデマも流れていることから、誤った知識や治療法を実践している人が多いことも事実です。
このような事態を避けるためにも、必ず医療機関を受診し、医師による適切な診断と処方を受けるようにしてください。
ED治療薬
勃起状態の改善にはED治療薬が効果的です。
とりわけ、厚生労働省が承認している「バイアグラ・レビトラ※・シアリス」の3つがおすすめです。
※「レビトラ」は販売終了になっていますが、ジェネリックの「バルデナフィル」は国内製薬メーカーから継続して販売されます。
昨今、これらのED治療薬を個人輸入と称して販売している通販サイトなどがありますが、偽造品の可能性が高いので注意しなければいけません。
事実、ネットから入手した60%が偽造品だったことが分かっています。医療機関以外から入手できるED治療薬については、厚生労働省から注意喚起が出ているほどです。
ED治療薬は医療機関を受診し、医師に処方してもらうようにしてください。
まとめ
「フル勃起しなくなった」や「勃起時に衰えを感じる」といった場合は、EDを疑った方がよいでしょう。
そのためには、まず自己診断をしたうえで、医療機関を受診しましょう。
医師による適切なED診療をうけ、ED治療薬を処方してもらうことで解決可能です。
MSクリニックではED治療薬としてバイアグラをはじめ、レビトラ、シアリスなどを院内処方しております。
全て信頼のメーカー正規品です。人気の国産ジェネリック医薬品もご用意しております。
専門医が丁寧に問診・診察・説明を行い、来院から10分程度でその場でお渡しいたします。お気軽にご相談ください。
この記事の監修医師

葉山芳貴
経歴
平成14年 聖マリアンナ医科大学 卒業
平成20年 大阪医科大学 大学院 卒業
平成22年 大手美容形成外科 院長 就任
平成27年 メンズサポートクリニック開設
平成28年 メンズサポートクリニック新宿 院長就任
平成28年 医療法人清佑会 理事長 就任
資格
医師免許(医籍登録番号:453182)
保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)