マスターベーションなどの性行為では勃起するにもかかわらず、性交の相手が奥様(妻)だと勃起が不十分になる現象は、一般的に「妻だけED」と呼ばれています。
マンネリ化や義務的な性交といったことが要因となり、性的な興奮が不足することで生じると言われていますが、実は様々な悪影響を含んでいるため、それらをしっかり把握しておく必要があります。
そこでこの記事では「妻だけEDの原因や治し方」について、多くのED治療を手がける医師が、妻だけEDに悩む男性に向けて分かりやすく解説します。
この記事の目次
「妻だけED」とは
「妻だけED」とは、性交の対象相手が妻である時に限って、勃起しない、勃起が持続しない(中折れする)、射精に至らないといった症状が起きることを指しています。
妻を相手にする時だけEDの症状が出るため、夫婦間のセックスから疎遠になり「妻だけレス」と呼ばれることもあります。
2020年、一般社団法人日本家族計画協会家族計画研究センターが実施した調査結果(*)によると、婚姻関係にあるカップルのセックスレスの割合は、調査が始まった2004年から上昇が続いており、2020年では51.9%だったとしています。
このことから、夫婦間のセックスレスや妻だけEDといった問題は、多くのカップルにとって身近なことと言えるでしょう。
妻だけEDの特徴は、マスターベーションや風俗店、さらには妻以外が相手であれば、満足いく性行為が達成できることです。
この特徴から、妻だけEDは身体的な問題よりも、精神や心理的な問題が影響していると言え、EDのひとつである「心因性ED」に該当すると考えられています。
「妻だけED」や「妻だけレス」といったことに心当たりがある男性は、心因性EDの疑いを持ち、原因となる精神的または心理的な問題の解消に向けた取り組みが必要です。
「妻だけED」によって生じる影響
「妻だけED」は以下のような影響を及ぼす可能性があります。
- 女性(妻)の性的満足度低下
- 不妊
- 離婚
それぞれの影響について解説します。
女性(妻)の性的満足度低下
妻だけEDは「女性(妻)の性的満足度低下」につながります。2005年に発表された研究結果(*)によると、EDを発症した男性をパートナーに持つ女性は、性交の際ほぼ常に、性的欲求や性的興奮、そしてオーガズムの経験が減少したとあり、性的な満足度を得ていると回答した女性は少なかったとあります。
つまり、EDはパートナーの肉体的な面だけでなく、精神面にも悪影響を及ぼす可能性がある訳です。
不妊
「不妊」は、妻だけEDによる影響のひとつです。EDだと、挿入から射精まで十分に達成できないため、自然妊娠することは困難になります。
不妊の要因が男性側に生じることで、男性がそれを気負ってしまい、さらにEDの症状が悪化してしまう可能性も否定できません。
離婚
妻だけEDは「離婚」の原因になる可能性があります。我が国の最高裁判所が公開している、2020年の「婚姻関係事件数―申立ての動機別(離婚の理由)」によると、性的不調和を理由に挙げた女性は2,808件/43,469件(約6.5%)だったとあります。
これは離婚の理由を3つ選ぶ方式であるため、その他の理由も含まれますが、性的不調和を理由にしている女性が一定数いることが分かります。
「妻だけED」になる原因
「妻だけED」になる原因は以下のようなことが考えられます。これらの原因は、いずれも心理的な問題という点で共通しています。
- セックスが義務化している
- マンネリ化
- 性的興奮の減少
- 拒否される
- 過去の失敗経験
妻だけEDの原因で最も考えられることは、夫婦間のセックスにおいて性的興奮が起きない、あるいは少ないといったものでしょう。
子作りのための義務的なセックスや、ルーティン化した単調なセックス、さらにはパートナーの容姿の変化などがきっかけとなり、妻に対する性的興奮が低下すると考えられます。
仮に、性交を拒否されると、消極的になり、失敗体験としてトラウマ化するかもしれません。つまり、心理的な問題が「負の連鎖」を生み出して、妻だけEDや妻だけレスになる訳です。
「妻だけED」を疑う前に知っておきたいEDの種類
「妻だけED」は、実は勘違いだったというケースもあります。実際は「妻だけED」ではなく、他の要因でEDを発症しているかもしれませんので、以下の4種類のEDについて理解しておきましょう。
- 器質性ED
- 心因性ED
- 混合性ED
- 薬剤性ED
それぞれの種類について解説します。
器質性ED
器質性EDとは、血管や神経といった身体的な障害が原因で生じるEDのことです。例えば、動脈硬化、糖尿病、高血圧、さらにはテストステロンの分泌不足などが該当します。
心因性ED
心因性EDとは、精神または心理的な問題が原因で起きるEDです。具体的には、ストレス、重圧、性体験のトラウマ、ペニスのコンプレックスなど様々で、妻だけEDはこれに該当することがほとんどでしょう。
混合性ED
混合性EDとは、器質性EDと心因性EDの両方を発症するパターンです。これに該当する男性は多いとされていますが、原因の特定が難しく、泌尿器科以外に内科や精神科などのアプローチも必要になるかもしれません。
薬剤性ED
薬剤性EDとは、使用している薬の副作用が原因でEDを発症するものです。ED診療ガイドライン(*)では、降圧薬や抗うつ薬などに含まれる成分が、悪影響を及ぼす可能性があると指摘しています。
「妻だけED」の治し方や予防対策
妻だけEDを改善する方法には、以下のようなものがあります。
- 夫婦間でよく話し合う
- 夫婦でカウンセリングを受ける
- ED治療薬
上記の治療法について解説します。
夫婦間でよく話し合う
妻だけEDで最も大切な改善法と言えるのが「夫婦間でよく話し合う」ことです。具体的には、EDの傾向があることを打ち明けること、セックスのシチュエーション、お互いに性的興奮を高めるための工夫などについてよく話し合いましょう。
アメリカで実施された研究(*)では、パートナーとのコミュニケーションが、男女の性的欲求の問題を解決するのに重要で、なおかつ広く用いられている方法と紹介しています。
妻だけEDは、心理的なことが原因と考えられます。男性が抱え込まず、しっかり打ち明けてパートナーと一緒に解消することが不可欠と考えましょう。
夫婦でカウンセリングを受ける
「夫婦でカウンセリングを受ける」ことも有効な治療法です。例えば、セックス・カウンセラーやセックス・セラピストなどへの相談が該当します。
日本性科学会(*)認定のセックス・カウンセラーやセックス・セラピストは、性機能障害をはじめとする性に関する様々な悩みや不安の解消を目的にしており、心因性の問題を解決するのにおすすめです。
ED治療薬
妻だけEDの改善には「ED治療薬」もおすすめです。「ED診療ガイドライン第3版」(*)においても、安全性と有効性が高い治療法として推奨されています。
ED治療薬は、医師によるオンライン診療でも入手できますので、改善に向けた第一選択として試してみるとよいでしょう。
まとめ
妻だけEDは、ストレスや重圧といった心因性の問題が原因であることがほとんどです。
予防や改善には、夫婦間での話し合いが不可欠ですが、うまくいかない場合は、ED治療薬を使った対処も必要になるでしょう。
妻だけEDの心当たりがある男性は、できるだけ早く医師に相談し、対策や治療に取り組むことをおすすめします。
MSクリニックでは、ED治療・包茎手術・早漏治療・長茎術・亀頭増大術など男性のさまざまなお悩みに向き合うメンズクリニックです。
医師をはじめ、看護師も全員が男性です。受診するのは抵抗がある、人目が気になるという方も安心してご相談ください。
この記事の監修医師
葉山芳貴
経歴
平成14年 聖マリアンナ医科大学 卒業
平成20年 大阪医科大学 大学院 卒業
平成22年 大手美容形成外科 院長 就任
平成27年 メンズサポートクリニック開設
平成28年 メンズサポートクリニック新宿 院長就任
平成28年 医療法人清佑会 理事長 就任
資格
医師免許(医籍登録番号:453182)
保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)
鳥羽洋輔
経歴
平成31年 札幌医科大学医学部医学科 卒業
令和3年 美容皮膚科クリニック 勤務
令和4年 MSクリニック 勤務
資格
美容外科医
医師免許(医籍登録番号:559547)