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パイプカット手術とは|医療用語では精管切除結紮法(せいかんせつじょけっさつほう)について当院の総院長・医学博士の葉山芳貴が詳しく説明します。

更新日:2025年12月18日

パイプカット手術とは?

パイプカット手術について、当院でも多くの方から、ご質問やご相談があります。

・誰でも受けられる?
・どんな手術方法?
・効果は?他の避妊方法と何が違う?
 などなど

ここではパイプカット手術の方法や特徴などについて、当院の総院長・医学博士の葉山が解説します。

精管切除結紮法(せいかんせつじょけっさつほう)

パイプカット手術精管切除結紮法(せいかんせつじょけっさつほう)のイメージ

パイプカット手術の正式名称は、精管切除結紮法(せいかんせつじょけっさつほう)で、男性の精巣でつくられた精子を体外へ送り出す管である「精管」を途中で切除・結紮(しばる)ことで、100%に近い避妊効果を得るための外科的手術のことです。パイプカット手術を受けるためには原則、以下の条件を満たす必要があります。

❶ 妊娠又は分娩が、母体の生命に危険を及ぼすおそれがある
❷ 子どもが2人以上いること
❸ 配偶者の同意があること(いなければ本人のみの同意)

上記は母体保護法の第2章第3条に基づくものになりますが、現状のパイプカット手術では、❸のみの確認で行われることが多く見受けられます。

母体保護法
第一章 総則(この法律の目的)
第一条 この法律は、不妊手術及び人工妊娠中絶に関する事項を定めること等により、母性の生命健康を保護することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で不妊手術とは、生殖腺を除去することなしに、生殖を不能にする手術で内閣府令をもつて定めるものをいう。
2 この法律で人工妊娠中絶とは、胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出することをいう。
第二章 不妊手術
第三条 医師は、次の各号の一に該当する者に対して、本人の同意及び配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様な事情にある者を含む。以下同じ。)があるときはその同意を得て、不妊手術を行うことができる。ただし、未成年者については、この限りでない。
一 妊娠又は分娩が、母体の生命に危険を及ぼすおそれのあるもの
二 現に数人の子を有し、かつ、分娩ごとに、母体の健康度を著しく低下するおそれのあるもの
2 前項各号に掲げる場合には、その配偶者についても同項の規定による不妊手術を行うことができる。
3 第一項の同意は、配偶者が知れないとき又はその意思を表示することができないときは本人の同意だけで足りる。

なぜ避妊ができるの? パイプカット手術の方法とメカニズム

パイプカット手術の図

精巣(睾丸)で作られた精子は、精管という細い管を通って尿道側に運ばれ、他の液体と合流します。パイプカット手術では、陰嚢の皮膚を小さく切開、または穴を開け、精管を体外に引き出します。引き出した精管の一部(約1cm程度)を切除し、残った精管の両端を糸でしっかり縛る(結紮)、または電気メスなどで焼いて閉じて精管を元に戻し、皮膚を縫合します。
この精管の途中のルートを切断・結紮(しばる)することで、精子が精液の中に混ざり込むのを物理的にブロックします。精液の成分の大部分を占める精嚢液と前立腺液は、射精されます。射精された精液の中に、精子が含まれていないため妊娠しません。見た目や量、射精の感覚に大きな変化もありません。
なお、手術直後から避妊できるわけではありません。精管が遮断されても、切断した部分から先の精管や精嚢には、手術前の古い精子が残っており、手術後、約20〜30回の射精、または約2〜3ヶ月の期間をかけて、残っていた精子を排出する必要があります。
医師の指示に従い、定められた期間が経過した後、精液検査を数回行い、精液の中に精子が完全にいなくなったこと(無精子症)を確認、この精液検査で精子がゼロと確認されるまでの期間は、必ず他のコンドームなどを用いる必要があります。

(不妊手術の術式)
第一条 母体保護法(以下「法」という。)第二条第一項に規定する不妊手術は、次に掲げる術式によるものとする。
一 精管切除結さつ法(精管を陰のう根部で精索からはく離して、二センチメートル以上を切除し、各断端を焼しやくし、結さつするものをいう。)
二 精管離断変位法(精管を陰のう根部で精索からはく離して切断し、各断端を結さつしてから変位固定するものをいう。)

  

他の避妊方法について

種別 コンドーム 低用量ピル IUD等
効果 約85% 約99% 約99%
方法 ペニスに装着 女性が毎日服用 子宮内に挿入・装着
特徴 安価で容易に入手可能な、最も普及している避妊具。性感染症予防にもなる 高い避妊効果と女性の体調改善がある一方、性感染症予防にはならない 高い避妊効果がある一方、定期的にメンテナンスする煩わしさ等がある。

❶ コンドームについて

コンドームのイメージ

コンビニやドラッグストアなど、安価で容易に入手しやすく、最も普及している避妊具です。理想的な使用で避妊率は98%、一般的な使用で85%といわれています。避妊率が下がる原因は、挿入前に装着せず、挿入途中で陰茎に装着した場合、ペニスとコンドームのサイズが合っていない、過度な摩擦、古いコンドームの使用による破れなどによるものです。

コンドームの避妊率は一般的な使用で85%といわれています。これは1年間に同じ避妊法を使った場合、100人中85人は避妊でき、15人は妊娠する、ということです。理想的な使用で避妊率は98%となります。

❷ 低用量ピルについて

コンドームのイメージ

低用量ピルは、女性が毎日正しく用法容量を守って服用することで、約99%と高い避妊効果を得られる方法である一方、服用時間のずれや飲み忘れで、避妊率は低下します。また、服用による血栓症などの副作用のリスクが伴います。

低用量ピルとは、もともとは避妊のために開発された薬でしたが、生理痛が軽くなるなどの効果が明らかになり、現在では月経困難症を治療する薬として使われているものもあります。

❸ IUD、ミレーナ等の子宮内避妊具について

コンドームのイメージ

子宮内避妊具(ミレーナ等)は、女性の子宮内に器具を挿入することで約99%の避妊率が、3〜5年ほどの効果が維持する方法です。
挿入後の月経過多や不正出血、腹痛などのトラブルが起こる可能性があること、器具が適切に挿入されているか等、定期的に婦人科での検診が必要です。

わが国で使用可能な子宮内避妊器具(intrauterine device:IUD)には, 従来のIUD(FD-1など)や銅付加 IUD (ノバT®️380)と, レボノルゲストレル放出子宮内システム(levonorgestrel releasing intrauterine system:LNG-IUS)(ミレーナ®️52mg)などがある. IUD/IUSを希望する女性に対して情報提供をする際には, それぞれの添付文書を参考にする.

❹ 腟外射精(避妊方法ではない)

性交中(射精直前)にペニスを膣から抜き取る方法です。これは避妊法として信頼性に大きく欠け、また性感染症予防の観点でも医学的に推奨されません。

確実な避妊をご希望の方は、パイプカット手術をお勧めしますが、メリット、デメリット、手術するための条件等を深く理解した上で、ご検討をされることを強くお勧めします。

パイプカット手術のメリット・デメリットについて

メリット

確実な避妊効果

パイプカット手術を適切に行い、手術後の精液検査で無精子状態であることが確認出来れば、その避妊確率は、ほぼ100%近くになります。

避妊の煩わしさから解放

コンドームなどの避妊具の準備、使用、管理が不要となり、性生活における心理的ストレスから解放されます。
ただし、「セックスライフの煩わしさ、セックスライフを充実させる」ための目的だけで、手術を行うことはできません。

デメリット

元に戻すことが困難

原則、元に戻すことが困難な避妊方法で、精管再開通手術を行なったとしても、妊娠率は極めて低いです。

独自の判断では行えない

母体保護法により、パイプカット手術を受けるためには配偶者(パートナー)の同意が必須であり、単独では決断できません。(条件によります)

保険診療では行えす費用が高額になる

避妊目的の手術であるため、公的医療保険の適用外(自由診療)であり、全額自己負担の費用となります。

術後のリスクなどがある

手術部位に一時的な内出血や腫れが生じることや、切断された精管の端から漏れ出た精子が原因で、しこりができる可能性があります。

パイプカットをお考えの方に

ただの避妊では無いことを理解する

コンドームのイメージ

当院では、パイプカット手術を「コンドーム」や「ピル」の延長線上にある「避妊法」としては捉えておりません。本手術は、「避妊具のわずらわしさから解放される」という一時的なメリット以上に、ご夫婦やパートナーの人生設計において、後戻りができない決断を伴う、極めて重要な医療行為です。

二度と妊娠を望まない、という覚悟

他の避妊法とは異なり、パイプカット手術は永続的な効果を目的としており、原則として元に戻すことが困難です。「今後一切、子どもを望まない」という夫婦双方の確固たる意思と覚悟が必要です。再開通手術の成功率は100%ではないため、安易な判断では将来の大きな後悔につながりかねません。

母体保護法が定める「配偶者の同意」の重み

母体保護法による避妊手術となり、本人及び配偶者(パートナー)の同意書が必要です。自分一人での判断ではなく、「夫婦の未来」という、かけがえのない財産に関わる、とても重い手術です。

パイプカット手術後数年以内に後悔をされる方が一定数いらっしゃるといわれています。
「ただ避妊手術をするだけ」ではない、法的かつ倫理的な重さを持つ「決断の手術」であるため、当院では「パイプカット手術」は行なっておりません。

このページを監修した医師

監修医師:葉山芳貴(はやまよしたか)

医療法人社団 清佑会
MSクリニック総院長 葉山 芳貴

称号・資格

医学博士

医師免許(医籍登録番号:453182)

保険医登録(保険医登録番号:東医 221636)

経歴

平成8年3月
私立甲南大学理学部生物学科卒業
平成14年3月
私立聖マリアンナ医科大学卒業
平成14年5月
第96回医師国家試験合格
平成20年3月
私立大阪医科大学大学院卒業
MSクリニック診療時間
診療時間
10:00〜20:00
  • ※新宿のみ年末年始を除き無休です。
  • ※研修会等での不定期の休診日があります。

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