【医師監修】「安全日」とは？妊娠しやすい「危険日」はいつ？

みなさんは「安全日」や「危険日」がいつかをご存知でしょうか？一般的に、安全日や危険日といった表現は、妊娠する可能性が低い、あるいは高いことを表していますが、個人差があり、なおかつ人によって言うことが違うため、曖昧な解釈になっている人も多いと思います。

その曖昧さが「安全日だからコンドームを着用しなくてもいい」や「危険日はセックスしてはいけない」といった思い込みや勘違いにつながることが多いため、とくに男性は正しい知識を身に付けておくことが求められます。

そこでこの記事では、妊娠を巡る「安全日や危険日」について、泌尿器科医が質問に回答するかたちで分かりやすく解説します。

安全日とは？

質問者：安全日とは何なのでしょうか？

先生：安全日とは、性交によって自然妊娠する可能性が低い日、または期間のことです。安全日の基準については、医学的なエビデンスやガイドラインはありません。あくまでも、妊娠するメカニズム（排卵と受精）に基づいて推測された目安です。安全日は、性交による妊娠の可能性が低いというだけで、妊娠しない日（期間）ではないことに注意してください。

質問者：安全日は具体的にはいつと考えればいいですか？

先生：安全日は「妊娠しやすいとされる期間以外」とされています。一般的に、妊娠しやすいとされる期間は「排卵日の4日前から排卵日1日後頃」と言われていますので、この期間以外が安全日となります。安全日を把握するために不可欠な基準となるのが「排卵日」です。排卵日は、月経から次の月経のサイクル内で1回訪れるもので、目安として「次の生理予定日の14日前頃」になります。具体的な安全日を把握するためには、対象となる女性の排卵日を予想し、その前後5日（危険日）以外を目安にするとよいでしょう。

質問者：避妊しなくても大丈夫ということでしょうか？

先生：いいえ、安全日であっても避妊しなければ妊娠する可能性があります。大切なポイントであるため繰り返しますが、安全日は妊娠しない日という意味ではありません。あくまでも、妊娠する可能性が低い期間というだけです。つまり、安全日であっても避妊しなければ妊娠するかもしれないため誤解がないようにしてください。男性は、望まない妊娠を回避するためにも、安全日であったとしてもコンドームを着用し、避妊効果が高い避妊法を心がけましょう。

質問者：絶対に妊娠しない日はありますか？

先生：いいえ、ありません。対象となる女性が妊娠できる体である限り、絶対に妊娠しない日はありません。仮に、排卵日を高精度で特定し、妊娠しにくい日を予測できたとしても、正しく避妊しなければ、妊娠する可能性は十分にあり得ます。

ポイント：

• 安全日とは、性交で自然妊娠する可能性が低い日、またはその期間
• 安全日は妊娠しやすいとされる「排卵日の4日前から排卵日1日後頃」以外
• 安全日は妊娠しない日という意味ではない
• 避妊しなければ安全日であっても妊娠する可能性がある

危険日はいつ？

質問者：危険日とはいつを指していますか？

先生：危険日とは、性交によって自然妊娠する可能性が高い日、またはその期間を指しています。具体的には「排卵日の4日前から排卵日1日後頃」とされることが多く、とりわけ排卵日2日前頃が妊娠しやすい危険日と言われています。安全日同様に、危険日に関する医学的な指標などはありません。危険日は、性交で妊娠する日という訳ではなく、あくまでも、妊娠しやすい日（期間）に過ぎません。

質問者：危険日にセックスすると妊娠するのでしょうか？

先生：いいえ、必ずしも妊娠するとは限りません。危険日は、月経周期に基づいて予測される妊娠しやすい期間ではありますが、必ず妊娠する期間という訳ではありません。危険日だからといってセックスすれば妊娠してしまうと考えることや、妊活中の危険日にセックスすれば必ず赤ちゃんができると思い込むことは控えましょう。

質問者：危険日の定義が曖昧でよくわかりません。

先生：危険日を定義付けるのは困難であることを理解してください。危険日（および安全日）は、女性ごとに異なる排卵日が基準になるため、対象となる女性の排卵日によって大きく変化します。例えば、月経周期が28日周期の場合、生理が始まってから14日目頃が危険日に該当しますが、生理周期が不安定な場合は、必然的に危険日もズレてしまうことに注意しなければいけません。心身不調などが原因で生理がズレてしまうことは決して珍しいことではなく、なおかつ危険日そのものに幅があるため、危険日を確実に特定することは現実的とは言えません。

ポイント：

• 危険日は妊娠しやすいとされる「排卵日の4日前から排卵日1日後頃」
• セックスすれば妊娠する時期という訳ではない
• 生理が始まってから14日目頃が目安とされている

安全日と危険日の計算方法

質問者：安全日と危険日は計算できるのですか？

先生：はい、一般的に「オギノ式」と呼ばれる計算方法が用いられます。オギノ式は、生理周期と生理予定日を基にして、安全日および危険日の基準となる排卵日を予測するもので、国内外で避妊法のひとつ「Rhythm Method/リズム法(*)」としても利用されています。

オギノ式では、生理開始日から14日後に排卵日を迎えると考えます。例えば、生理周期が28日周期の女性の場合、28マイナス14で計算し、生理開始日から排卵が始まるまでの期間となる14（日）が算出されます。つまり、生理が始まってから14日後に排卵が始まると仮定できる訳です。仮に、生理周期が32日周期の場合は、32マイナス14で、18（日）が算出されるため、生理が始まってから18日目に排卵が始まると計算できます。この計算によって排卵日を予測できると、安全日と危険日が導き出される仕組みです。ただし、生理周期が安定していることが前提であり、生理がズレるようなことがあると、計算もズレることを忘れないでください。

質問者：排卵日を正確に知る方法はありますか？

先生：排卵日を正確に特定することは現実的ではないものの、より高い精度で予測することは可能です。具体的な方法として、女性自身が基礎体温の測定を最低3ヶ月継続することに加え、排卵日予測検査薬を使うことが一般的です。男性は排卵日について女性としっかりコミュニケーションをとるように心がけ、女性の体調の変化を把握しておくことが望まれます。

質問者：危険日にアフターピルを飲めば妊娠しないのですか？

先生：妊娠しないとは言い切れません。厚生労働省によるアフターピル（緊急避妊薬）に関する検討会(*)において、緊急避妊薬の妊娠阻止率は80%程度で、なおかつ服用が遅れる（性交渉から72時間以上経過）と、その確率はさらに低下すると指摘されています。このことから、危険日における性交後にアフターピルを服用したとしても妊娠する確率はゼロと言えません。男性は「女性にピルを飲んでもらえれば妊娠しない」と安易に考えないように注意しましょう。

この記事の監修医師

総院長、医学博士

葉山芳貴

経歴

平成14年 聖マリアンナ医科大学 卒業
平成20年 大阪医科大学 大学院 卒業
平成22年 大手美容形成外科 院長 就任
平成27年 メンズサポートクリニック開設
平成28年 メンズサポートクリニック新宿 院長就任
平成28年 医療法人清佑会 理事長 就任

資格

医師免許（医籍登録番号：453182）
保険医登録（保険医登録番号：阪医52752）

新宿院 院長

鳥羽洋輔

経歴

平成31年 札幌医科大学医学部医学科 卒業
令和3年 美容皮膚科クリニック 勤務
令和4年 MSクリニック 勤務

資格

美容外科医
医師免許（医籍登録番号：559547）