みなさんは急に顔が熱くなったり、汗が止まらなくなったり、体がほてるような感覚になった経験はありますか?
このような症状は「ホットフラッシュ」と呼ばれ、更年期障害の症状のひとつと言われています。女性に限らず、男性でもホットフラッシュが起きる可能性はありますので、原因や対処法についてよく理解しておくことが大切です。
この記事では、「男性のホットフラッシュ」に関する具体的な原因や症状、そして治療法について、男性更年期障害の治療経験が豊富な医師が分かりやすく解説します。
この記事の目次
男性のホットフラッシュとは
男性のホットフラッシュとは、主に40歳を超えた男性において、急に汗が出たり、汗が止まらなくなったりする症状のことです。
症状の度合いは個人差があるものの、数分間にわたる発汗や熱感、血圧の変化を伴わない脈拍の増加、そして顔や体がほてる、のぼせたような状態になることが含まれます。
ホットフラッシュは女性の更年期障害で多く見られる症状と言われていますが、40代前半から50代後半の更年期を迎えた男性でも起こり得ます。
また、必ずしも更年期の男性に限った症状とは言えず、20代~30代の若い男性でも起きる可能性があります。
ホットフラッシュは、一時的な緊張や、汗をかきやすい体質が原因となるように思えますが、男性ホルモンであるテストステロンの減少も、その原因となる場合があります。
従って、ホットフラッシュの症状に心当たりがある男性は、テストステロンの分泌量が減ることで起きる、「男性更年期障害」を疑う必要があるかもしれません。
男性でホットフラッシュが起きる原因
男性のホットフラッシュは「テストステロンの分泌量が減ること」が根本的な原因と考えられており、主に以下のようなことが関係しています。
- 加齢
- ストレス
- 男性更年期障害
それぞれの原因について解説します。
加齢
男性のホットフラッシュは、多くの場合加齢により、テストステロンの分泌量が減少することが原因とされています。
日本泌尿器科学会雑誌にて発表された実験データ(*1)によると、生物学的活性がある遊離型テストステロンの分泌量は、40代以降直線的に低下するとあります。
加齢によって遊離型テストステロンの分泌量が低下することで、血圧や呼吸数、そして汗といったことを制御する自律神経の乱れが起こり、結果としてホットフラッシュを招くと考えられています。
ストレス
「ストレス」もホットフラッシュの原因のひとつです。ストレスが過剰な状態になると、副腎皮質刺激ホルモンの分泌量が増え、ストレスホルモンであるコルチゾールも増加します。
コルチゾールが増えると、睾丸の働きを促す性腺刺激ホルモンである「ゴナドトロピン」が減り、睾丸から十分なテストステロンが分泌されにくくなります。
また、コルチゾールが過剰になると、コルチゾールの分泌元である副腎の働きが低下し、テストステロンの元となる「DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)」の分泌が阻害されてしまいます。
仕事や家庭、そして人間関係といったストレスを抱えることは、様々な形でテストステロンの分泌を妨げることにつながってしまうのです。
男性更年期障害
男性のホットフラッシュは、「男性更年期障害」が原因となる場合があります。男性更年期障害は、テストステロンの減少によって身体症状、精神症状、そして性機能障害などを引き起こすもので、ホットフラッシュは身体症状のひとつです。
男性更年期障害かどうかを知るには「AMSスコア」と呼ばれるチェック法を使うのがおすすめです。
AMSスコアによるチェックの結果、更年期障害の疑いがあるようなら、医療機関にて血液検査を受け、必要に応じて適切な治療を行うことが大切です。
男性のホットフラッシュの治療法
男性のホットフラッシュを治療する方法は、主に以下のような方法があります。
- 男性ホルモン補充療法
- 漢方
それぞれ解説します。
男性ホルモン補充療法
男性のホットフラッシュで最も有用とされている治療法が「男性ホルモン補充療法」です。この方法は、血液検査で遊離型テストステロンの血中濃度を計測した後、基準値(正常値の下限)とされている「7.5pg/mL」(*2)を下回った場合に、不足している分を注射や塗布薬などを使って補う治療法になります。
ホットフラッシュをはじめとする男性更年期障害の症状が気になっている場合には、まずは専門の医療機関にて医師の診察を受けるのがよいでしょう。
漢方
「漢方」による治療も男性のホットフラッシュを改善するのに効果的とされています。具体的な漢方薬としては「八味地黄丸(はちみじおうがん)」や「竜骨(りゅうこつ)」そして「牡蛎(ぼれい)」などが挙げられます。
これらは、漢方において、男性更年期障害の諸症状を招く「腎虚(じんきょ)」や「気虚(ききょ)」の改善に効果が見込めると考えられており、身体機能低下の改善や、ストレス鎮静作用が期待できます。
ホットフラッシュ対策としてできること
ホットフラッシュ対策として、日頃から以下のようなことに取り組むことをおすすめします。
- 筋トレ
- ストレス発散
- 規則正しい生活
上記について解説します。
筋トレ
男性のホットフラッシュ対策として「筋トレ」がおすすめです。2011年、立命館大学スポーツ健康科学部の後藤氏による研究(*3)において、スクワットやレッグエクステンションといったレジスタンス運動を行った後、遊離型テストステロンなどの顕著な上昇が認められたとあります。
ホットフラッシュはテストステロンの分泌量が減ることが根本的な原因とされていることから、筋トレを通じてテストステロンの分泌量を増やすことは有用と言えるでしょう。
ストレス発散
「ストレス発散」も男性のホットフラッシュ対策としておすすめです。ホットフラッシュはストレスによってテストステロンの分泌が阻害されてしまうことが影響するため、できるだけストレスを溜めない取組みが求められます。
前述した「筋トレ」をはじめ、ウォーキングやジョギング、そしてストレッチといった軽い運動などを習慣化するとよいでしょう。
規則正しい生活
男性のホットフラッシュ対策として「規則正しい生活」を心掛けてください。具体的には、十分な睡眠、適度な運動、そして栄養バランスを考慮した食事が挙げられます。
とくに栄養に関しては、肉や卵といった動物性たんぱく質、牡蠣やレバーなどに多く含まれる亜鉛、そして粘り気がある山芋などから摂取できるDHEAなどがおすすめです。
まとめ
男性のホットフラッシュは、主に40歳を超えたあたりから起きやすいとされており、加齢やストレスによってテストステロンの分泌量が減ることが原因となります。
ホットフラッシュの改善には、男性ホルモン補充療法や漢方といった治療法が有用ですが、日頃から筋トレやストレス発散、そして規則正しい生活などにも取り組むようにしましょう。
ホットフラッシュや男性更年期障害の症状が気になる場合には、一度クリニックを受診して検査を受けるのがおすすめです。
MSクリニック新宿院では、男性の更年期障害、包茎手術・早漏治療・長茎術・亀頭増大術などから、AGA薄毛治療など、男性美容まで男性のお悩みに向き合うメンズクリニックです。
症例豊富な医師をはじめ、看護師も全員が男性ですので、どうぞお気軽にご相談、ご来院ください。
この記事の監修医師
葉山芳貴
経歴
平成14年 聖マリアンナ医科大学 卒業
平成20年 大阪医科大学 大学院 卒業
平成22年 大手美容形成外科 院長 就任
平成27年 メンズサポートクリニック開設
平成28年 メンズサポートクリニック新宿 院長就任
平成28年 医療法人清佑会 理事長 就任
資格
医師免許(医籍登録番号:453182)
保険医登録(保険医登録番号:阪医52752)
鳥羽洋輔
経歴
平成31年 札幌医科大学医学部医学科 卒業
令和3年 美容皮膚科クリニック 勤務
令和4年 MSクリニック 勤務
資格
美容外科医
医師免許(医籍登録番号:559547)